うつ病改善

背景

某企業様(10数名)で、うつ病者(Aさん)が出た。3ヵ月(2022年2月~4月)休職期間に、うつ病を改善して職場復帰させてほしいとの依頼があった。

経済効果

うつ病者は、そうでない者より、生産性損失の額が大きい。その差は、年76万円(1)とも年137万円(2)とも言われる。その分無駄にコストがかかっているということである。

またリクルートの調査(3)によると、1人採用するのに約100万円の採用コストがかかる。これに育成コストを加味すると、離職した人材と同等の人材を補うのに1人300万円相当の追加費用が発生する。

離職に関する追加費用

つまり、Aさんが職場復帰して2年目以降も継続的に勤務することになれば、そのまま離職するときに比べ、400万円以上の利益増になる。

支援

初回面談で症状と人間性の確認を行った。さらに心理検査を実施し、カウンセリングにより改善が見込めると判断した。2回目以降、Aさんに週一回の定期カウンセリング&定期トレーニングを実施(下記)。

実際の現場で使った説明用紙

結果

2ヶ月目が終わるころまで目に見える変化が見られなかった。しかし、3ヵ月目に入って急速に症状が改善し職場復帰した。2022年12月現在も休むことなく働いている。社長曰く、これまでで一番元気とのこと。

考察

  • 本人とカウンセリングとの相性がよかったこと
  • 本人の問題の本質を的確にとらえられたこと
  • 本人の問題に合わせて適切なトレーニングを提供できたこと

の3点が成功の要因と思われる。実際にAさんは今年度中の離職は防げる可能性が高い。これにより、採用コスト、育成コストの削減が実現した。また、うつ病も改善しており、うつ病が継続する場合に比べて、生産性の改善も実現している。これを試算すると、今回の介入で400万円の経済効果が見込めると考えられる。

参考資料

  1. 佐藤(2014)うつ病による社会的損失はどの程度になるか?
  2. 学校法人慶応義塾(2011)精神疾患の社会的コストの推計
  3. リクルート(2022)就職白書

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