あなたは「マネジメント」と聞いて、何かはっきり説明できますか?
よく分からないもの、でも組織の成長と発展に絶対に必要なもの。それがマネジメントです。
そんなわけで、この記事では、マネジメントの基礎知識から、実践的なテクニックまでを図解入りでわかりやすく解説します。
1. マネジメントの基礎知識
マネジメントと聞いて、部下の管理や業務の割り振りを思い浮かべるかもしれません。しかし、真のマネジメントは、もっと奥深いものなのです。
では、マネジメントとはいったい何なのか?いくつかの視点から、マネジメントという概念を掘り下げていきましょう。
1-1. マネジメントの3つの機能
まずマネジメントの本質は、「組織の目標達成に向けて、人や資源を効果的に活用すること」です。
マネジメントには、大きく分けて次の3つの機能があります。
- 計画機能:組織の目標を設定し、その達成に向けた戦略を立てる。
- 組織機能:目標達成に必要な人材を配置し、権限と責任を明確にする。
- 統制機能:計画通りに実行されているかを監督し、必要に応じて修正する。
これらの機能を効果的に果たすことが、優れたマネジメントにつながります。
例えば、次のような感じになります。
- 計画機能では、「市場動向や自社の強みを分析し、現実的かつ野心的な目標を設定する」。
- 組織機能では、「各メンバーの能力や特性を見極め、適材適所の配置を行う」。
- 統制機能では、「定期的に進捗をチェックし、問題があれば速やかに対処する」。
これらの機能が連動することで、組織は目標に向かって力強く前進できるのです。
1-2. リーダーシップとマネジメントの違い
では、リーダーシップとマネジメントはどう違うのでしょう?
この2つは似て非なる概念です。具体的に次のような違いがあります。
リーダーシップ | 目標達成に向けて人々を動機づけ、影響を与えること |
マネジメント | 組織の目標達成に向けて、資源を効率的に配分し、管理すること |
リーダーシップは「人」に、マネジメントは「もの」「しくみ」に重点を置いているのです。
優れたマネジャーは、両方の能力を兼ね備えています。この両輪があって初めて、組織は最大のパフォーマンスを発揮できるのです。
1-3. マネジメントに求められるスキル
では、優れたマネジメントを実践するにはどんなスキルが必要なのでしょうか?
具体的には次のようなスキルが求められます。
コミュニケーション能力 | 部下の意見に耳を傾け、信頼関係を築く。時に適切なフィードバクを与える能力。 |
意思決定力 | 状況を素早く分析し、的確な判断を下す能力 |
問題解決力 | 問題の本質を見抜き、創造的な解決策を考え出す能力。チームを巻き込んだ解決能力も含まれる。 |
計画立案力 | 現状を分析し、将来を見据えた計画を立てる能力。 |
人材育成力 | 部下の能力を最大限に引き出し、成長を促す能力。 |
これらのスキル・能力は、天性のものと言うよりは、トレーニングによって身につけているものなので、日頃から少しずつ身につける訓練をしていくことが大事です。
次章では、組織を動かす3つの要素について詳しく解説します。
2. 組織を動かす3つの要素
組織を効果的に動かすには、必ず必要な3つの要素があります。
あなたは、何かすぐに言えますか?
答えは、「ビジョン」「戦略」「実行」です。
- ビジョンとは、「どこに向かっていくのか?」ということ
- 戦略とは、「どのようにそこに行くのか?」ということ
- 実行とは、「実際にそれをやってみる」ということ
この3つが相互に連携することで、組織は目標に向かって前進できるのです。それぞれ具体的に見ていきましょう。
2-1. ビジョン
ビジョンとは、組織が目指す将来の姿のことです。明確なビジョンがあれば、組織のメンバーは同じ方向を向いて進むことができます。
優れたビジョンは、次のような特徴を持っています。
- 明確で具体的:曖昧な表現ではなく、具体的な目標が示されている。
- 挑戦的:現状の延長線上ではなく、一段高いレベルを目指している。
- 魅力的:メンバーの心を動かし、やる気を引き出す。
ビジョンを設定する場合、自社の強みや市場環境を冷静に分析し、実現可能性を視野に入れることが大切です。
そして、できあがったビジョンは、組織内で徹底的に共有しましょう。
メンバー全員が、ビジョンに向かって一丸となって進んでいく。それが、強い組織をつくる秘訣なのです。
2-2. 戦略
戦略とは、ビジョンを実現するための具体的な方法論のこと。つまり、ビジョンという目的地に到達するための道筋を示したものです。
優れた戦略は、次のような特徴を持っています。
- 論理的:市場分析や自社の強み・弱みを踏まえ、筋道立てて構築されている。
- 選択と集中:全方位ではなく、重点分野に経営資源を集中的に投下する。
- 独自性:競合他社との差別化を図り、自社ならではの価値を提供する。
戦略は、市場の変化に応じて柔軟に修正しながら、常に最適化を図っていくことが重要です。
また、戦略を実行に移す際は、具体的なアクションプランを立て、進捗を定期的にチェックしましょう。
2-3. 実行
実行とは、戦略を実際の行動に移し、結果を出すこと。つまり、絵に描いた餅で終わらせず、現実のものとすることです。
優れた実行は、次のような特徴を持っています。
- スピード感:スピーディーに行動に移し、素早く結果を出す。
- 現場力:現場の声に耳を傾け、小さな改善を積み重ねる。
- 継続性:一時的な取り組みではなく、継続的な活動として定着させる。
「うちの社員は全然こちらの思ったように動いてくれない」という場合は、ビジョン、戦略が共有できていないからです。
だから、社員からすると「何か分からないけど、いきなり“やれ”と言われた」という感覚を受けるわけです。
そりゃ、やる気になりませんよね?そうなると、実行もおぼつかないということになります。
ビジョン、戦略、実行。この3つが三位一体となって機能してこそ、組織は目標に向かって力強く前進できます。あなたの組織は、この3つの要素が十分に機能していますか?
次章では、人材マネジメントの実践テクニックについて解説します。組織の要である「人」に焦点を当て、より具体的なマネジメントの方法論を探っていきます。
3. 人材マネジメントの実践テクニック
組織の力の源泉は「人」です。
と言うことは、優秀な人材を確保し、その能力を最大限に引き出すことが、マネジメントの重要な役割の一つです。
ここでは、人材マネジメントの実践的なテクニックを紹介します。
あなたは、部下の能力を十分に引き出せていますか?部下の心に火をつけ、やる気を引き出すことができていますか?
もし答えがNoなら、ここでのテクニックを実践してみて下さい。
3-1. 適材適所の配置
適材適所とは、個人の能力や特性に合った仕事やポジションに配置することです。つまり、適切なキャスティングを行うことで、組織のパフォーマンスを最大化するのです。
いや、それができたらもうやってるよ!
と言われそうですが、ちょっと待ってください。次のステップを1つずつこなしていけば、それなりに適材適所の配置はできるんです。
- 仕事の要件定義:各ポジションに求められる知識、スキル、経験を明確にする。
- 人材の能力把握:面談や評価を通じて、メンバーの強みや適性を把握する。
- マッチングの実行:仕事の要件と人材の能力を照らし合わせ、最適な配置を行う。
こう書くと当たり前に見えるかもしれません。
でも、こういった当たり前のことを愚直にやることが大事です。
というのも、こういうことを愚直にやるかやらないかで、その後の組織全体のパフォーマンスが全然変わってくるわけですから。
しかも、その影響は、その後ずっと続くわけです。
3-2. OJTとOff-JTの効果的な組み合わせ
人材育成には、OJT(On the Job Training)とOff-JT(Off the Job Training)の2つのアプローチがあります。
- OJTは、実際の業務を通じて行う教育。
- Off-JTは、業務から離れて行う教育です。
どっちかだけでもダメ。この2つを効果的に組み合わせることが、人材育成の肝となります。
OJTの利点は、以下の通りです。
- 実践的:実際の業務に即した教育ができる。
- 即効性:教育の成果がすぐに業務に反映される。
- コスト効率:特別な設備や講師を必要としない。
一方、Off-JTの利点は、以下の通りです。
- 体系的:座学で理論的な学習ができる。
- 集中的:業務から離れた環境で、集中して学習できる。
- 刺激的:他社の事例など、新しい知見に触れられる。
OJTとOff-JTのベストな組み合わせは、メンバーの習熟度合いによって異なります。
例えば、新入社員の場合は、まずOJTで基本的なスキルを身につけ、その後Off-JTで理論的な裏付けを学ぶのが効果的でしょう。
一方、ある程度経験を積んだメンバーの場合は、Off-JTで新たな知識を吸収し、それをOJTで実践に移すのがいいかもしれません。
なので、メンバーの成長ステージに合わせて、最適な育成方法を選択することが大事です。
3-3. 評価とフィードバック
人材マネジメントにおいて、評価とフィードバックも欠かせない要素です。
評価は、メンバーの成果や能力を客観的に測定することです。フィードバックは、その結果をメンバーに伝え、改善につなげることです。
これがないと、社員さんは、自分がGoodなのかBadなのか判断できないし、もしBadなら、何をどう直せばいいかも分からないからです。
効果的な評価とフィードバックには、以下のようなポイントがあります。
- 明確な評価基準:評価の観点や尺度を明確にし、公平性を担保する。
- 頻繁なフィードバック:年1回の評価だけでなく、日常的にフィードバックを行う。
- 双方向のコミュニケーション:一方的に結果を伝えるのではなく、メンバーの意見にも耳を傾ける。
評価とフィードバックを通じて、メンバーは自分の強みと弱みを客観的に把握できます。そして、弱みを克服し、強みを伸ばすための行動計画を立てることができるのです。
評価とフィードバックは、実はメンバーの成長を促す強力なツールなのです。
ただし、ネガティブなフィードバックは、メンバーのモチベーションを下げてしまう恐れもあります。
ですので、フィードバックを行う際は、メンバーの感情面にも配慮しながら、建設的な対話を心がけることが大切です。
適材適所、OJTとOff-JTの組み合わせ、評価とフィードバック。この3つのテクニックを駆使することで、あなたは部下の能力を最大限に引き出せるはずです。
さらに部下の成長が、あなたの成長につながる。そして、個人の成長の積み重ねが、組織の成長を促すのです。
さて、これまで色んなスキル、テクニックをお話してきました。
でも、それらをうまく活用するには、絶対に欠かせないものがあります。
それが、コミュニケーション。つまるところ、マネジメントの基本は、コミュニケーションにあります。そんなわけで、次章では、コミュニケーションスキルを磨くための方法について解説します。
4. コミュニケーションスキルを磨く
マネジメントの基本は、コミュニケーションです。
部下とのコミュニケーションを円滑に行うことで、信頼関係を築き、高いパフォーマンスを引き出すことができるのです。
ここでは、コミュニケーションスキルを磨くための具体的な方法を紹介します。
コミュニケーションの要点は3つ。
「聞く」「伝える」「質問する」です。
4-1. 「聞く」スキル
「聞く」ことは、コミュニケーションの基本中の基本。部下の話に耳を傾け、その意見や感情を理解することが何より大切です。
「聞く」スキルを磨くには、以下のようなポイントがあります。
- 共感的理解:相手の感情に寄り添い、共感的な態度で接する。
- 無条件の肯定的関心:相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。
- 自己一致:自分に嘘をつかず、分かっているふり、聞いているふりをしない。
「聞く」ことで、部下は上司に理解してもらえたと感じ、安心感を得ることができます。そして、自分の意見や感情を率直に表現するようになります。
4-2. 「伝える」スキル
自分の考えや指示を明確に「伝える」ことも、コミュニケーションには欠かせません。曖昧な表現では、部下は何をすべきかわからず、混乱してしまいます。
「伝える」スキルを磨くには、以下のようなポイントがあります。
- 簡潔明瞭:単純な言葉で、ポイントを絞って伝える。
- 具体的:抽象的な表現ではなく、具体的な行動レベルで伝える。
- 論理的:結論から述べ、その理由を論理的に説明する。
「伝える」とき、相手の立場に立って、わかりやすく伝えることが大切です。
例えば、専門用語を使うのではなく、カンタンな言葉で説明する。抽象的な概念ではなく、具体的な事例を示す。そうすることで、部下は指示の意図を正しく理解し、スムーズに行動に移せるのです。
4-3. 「質問する」スキル
「聞く」と重なる部分がありますが、これもすごく大事です。「質問する」スキルを磨くには、以下のようなポイントがあります。
- 広い質問:特に初めは、「はい」「いいえ」で答えられない質問をする。
- 共感:相手の気持ちを代弁する。(辛かったでしょうね・・)
- 要約:相手の話を要約して返す。(つまり○○ということですね?)
質問することには、相手の頭の中を整理し、気づきを促す作用があります。
しかも、質問されると、された側は必死で答えを探そうとします。
これが大事なんです。
と言うのは、「必死で答えを探す」=「主体的になる」ということだからです。
逆に単に説教するだけだと、相手は全く別のこと考えている可能性もあるわけですね。「社長話早く終わらないかな」「うぜーなこいつ」とか。
部下とのコミュニケーションの質を高めることで、信頼関係が深まり、部下は主体的になり、チームのパフォーマンスは飛躍的に向上するはずです。
さて、ここまでで基本的なマネジメントについて網羅的にお話してきました。最後に、この不透明で予測不可能な時代に、どんなマネジメントが求められるのか?
その辺りについて、触れておきます。
5. 変革の時代に求められるマネジメント
変化のスピードが加速し、先行きが見通しにくくなっている現代。このような不確実性の高い時代においては、マネジメントのあり方も変わらざるを得ません。
ここでは、アジャイル、リーダーシップ、イノベーション。この3つのキーワードを軸に、新時代のマネジメントのあり方を考えていきます。
5-1. アジャイルなマネジメント
変化の激しい時代においては、計画を緻密に立てるよりも、状況の変化に柔軟に適応していくことが重要になります。そこで注目されているのが、アジャイルなマネジメント手法です。
アジャイルなマネジメントとは、従来の計画主導型のマネジメントとは違い、短いサイクルで仮説検証を繰り返すところが特徴的です。イメージ的にはこんな違いがあります。
従来の計画主導型のマネジメント
アジャイルなマネジメント
アジャイルなマネジメントには、以下のような特徴があります。
- 反復的:短いサイクルで計画と実行を繰り返す。
- 適応的:状況の変化に合わせて、方向性を修正する。
- 協調的:チームメンバーの自律性を重んじ、協調して進める。
また、アジャイルなマネジメントでは、チームメンバーの自律性が必要になってきます。
従来のマネジメントだと、P(計画)は社長がやって、D(実行)は社員がやって・・のようになりがちでした。
でも、アジャイルなマネジメントでは、そういう風に明確に分けるのではなくて、社員が自分たちで考え、実行していく姿勢が必要になります。
そうすることで、スピード感を持った対応ができるわけです。
5-2. 変革をリードするリーダーシップ
変革の時代においては、ビジョンを示し、組織を導くリーダーシップが何より重要になります。単に現状を管理するだけでなく、変革を先導するリーダーが求められているのです。
変革をリードするリーダーシップには、以下のような資質が必要とされます。
- 先見性:未来を洞察し、ビジョンを描く力。
- 決断力:不確実な状況下でも、果断に意思決定する力。
- 共感力:メンバーの心に火をつけ、共感を得る力。
変革の時代のリーダーは、未来を予測し、その実現に向けて組織を導いていく存在です。
先の見えない不透明な状況であっても、揺るぎないビジョンを持ち、決断を下していく勇気が求められます。
同時に、変革を成し遂げるためには、メンバーの共感と協力が不可欠です。リーダーは、メンバーの心に響くビジョンを示し、変革への意欲を引き出していく必要があるのです。
サーバントリーダーシップの考え方などを取り入れながら、メンバーに寄り添い、共に変革を推進していく。それが、変革の時代に求められるリーダーの姿と言えるでしょう。
5-3. イノベーションを生み出すマネジメント
変革の時代を乗り越えていくためには、イノベーションも絶対に必要です。
イノベーションを生み出すマネジメントには、以下のようなアプローチがあります。
- 多様性:異なる知識や経験を持つメンバーを集める。
- 自律性:メンバーの創造性を引き出し、自律的な行動を促す。
- 実験的:新しいアイデアを積極的に試す風土を醸成する。
イノベーションは、異なる知識や発想の化学反応から生まれます。多様なバックグラウンドを持つメンバーが交わることで、新たな視点が生まれ、画期的なアイデアが生まれる土壌ができるのです。
さらに、イノベーションには失敗がつきものです。失敗を恐れず、新しいことに挑戦する。そのような実験的な文化を醸成することが、イノベーションを生み出すカギとなるでしょう。
以上、変革の時代に求められるマネジメントについて展望しました。
変革の時代を乗り越え、組織を発展させていくためには、従来のマネジメントの枠組みを超えた発想が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
マネジメントの基本から応用まで、一通り理解していただけたのではないでしょうか。
優れたマネジメントは、組織の成功に欠かせません。
リーダーシップを発揮し、ビジョンを示し、戦略を立て、実行していく。そして、人材の育成とコミュニケーションを大切にする。
これからの時代に求められるマネジメントスキルを身につけ、組織の変革を推進していきましょう。
あなたの会社が、業界のリーディングカンパニーへと飛躍する日も、きっとそう遠くはないはずです。
さあ、明日からのマネジメントに、ぜひこの記事の内容を活かしてください!