今すぐできる!心理的安全性を育むチームビルディング7つのアイデア

はじめに

心理的安全性は、Googleが行った研究「Project Aristotle」で、高いパフォーマンスを発揮するチームの最も重要な条件として注目されました。

しかし、心理的安全性を高めることは、なかなか難しいと感じているかもしれません。

実は、心理的安全性を高めるチームビルディングには、今すぐ実践できるアイデアがたくさんあります。

本記事では、心理的安全性を高める7つのアイデアを紹介します。

これらを実践することで、あなたのチームは変化の激しい時代を乗り越え、持続的な成長を遂げられるでしょう。では、さっそく、1つ目のアイデアから見ていきましょう。

アイデア1:「ミスを責めない文化」を作る〜失敗を学びの機会に変える方法

チームメンバーがミスを恐れず、挑戦できる環境を作ることが大切です。そのためには、失敗を責めるのではなく、学びの機会として活用する文化を作りましょう。

1. ミスを共有するための「失敗報告会」を開く

定期的に「失敗報告会」を開き、メンバーがミスを共有できる場を設けます。

この場合、

  • どんなミスであっても決して責めない
  • ミスを報告しても不当な扱いを受けない
  • 勇気をもってミスを報告してくれたことにみんなで感謝する

などの、ルールを設けるといいです。

失敗を隠さず、オープンに議論することで、同じミスを繰り返さない知見が生まれます。また、失敗を恐れずに挑戦する雰囲気が生まれるでしょう。

他にも、わざわざ失敗報告会とまでいかなくても、失敗から得た教訓をチームで共有する方法もあります。

「この失敗から何を学んだか」「今後どのようにすればいいか」といった観点でチームで議論するわけです。

2. やるべき失敗を奨励し、挑戦を後押しする

失敗は全部だめと思われがちです。

でも、失敗から学ぶことも多いわけで、場合によってはどんどん失敗した方がいいこともあります。

下の図は、デビッドコルブ博士の経験学習モデルです。

これは失敗にもズバリ適用できて、このようなサイクルをたどります。

  1. 経験:失敗を経験する(例:接客したらお客さんに怒られた)
  2. 内省:なぜ失敗したのか考察する(例:最初はにこやかだったが、自分が馴れ馴れしい態度をとった瞬間からムッとし始めた)
  3. 概念化:失敗した答えを得る(例:お客さんには最後まで丁寧に接するべきである)
  4. 行動:その答えをふまえて(例:答えの通りに行動する)

ですので、リーダーは、メンバーの「やるべき失敗」をどんどんするように、応援する姿勢を示すのが大事です。

「失敗しても大丈夫」というメッセージを発信することで、メンバーの心理的安全性が高まります。

ただし、この場合も、

  • どんどんやるべき失敗
  • 絶対にやってはいけない失敗

を予め定義して、チームで共有しておく必要があります。

次は、アイデア2「傾聴のスキル」を身につける方法について見ていきましょう。相手の意見を引き出し、理解を深めるコツがあるのです。

アイデア2:「傾聴のスキル」を身につける

心理的安全性を高めるには、メンバーの意見に耳を傾け、理解を深めることが大切です。傾聴のスキルを身につけることで、相手の本音を引き出し、信頼関係を構築できます。

1. 2つの聞く

  1. 散歩していたら鳥の声が聞こえた
  2. 英語の教材を集中して聞いている

この2つは明らかに違いますよね?では何が違うのかわかるでしょうか?

答えは、

  1. 受動的に聞くのか
  2. 能動的に聞くのか

の違いです。

いわゆる傾聴というのは、「能動的に聞く」やり方を指すんですね。「自分から聞きに行く」というやつです。

では、具体的に傾聴とはどんな風にやるのでしょうか?いくもあるのですが、ここでは代表的なものだけをピックアップします。

2.傾聴のやり方

一つ目は広い質問。

「なぜそう考えるのですか?」「もう少し詳しく教えていただけますか?」といった開かれた質問を投げかけることで、相手の考えを深掘りするやり方です。

相手のことをより深く理解することで、相手との間に絆(ラポール)が築かれます。これが、心理的安全性を高めてくれるのです。

2つ目は要約。

相手の発言をオウム返しや要約して伝えることで、「あなたの意見を理解しています」というメッセージを暗に送ることができます。

例えば、「つまり、あなたが言いたいのは〜ということですね」と要約することで、相手は自分の意見が尊重されていると感じられるでしょう。

ちなみに、要約で返して、「違います」と返ってきてもOKです。自分の解釈が違っていても関係が悪くなることはまずありません。むしろ誤解が広がる前に防げたという意味ではプラスです。

次は、アイデア3「対話の場」を設ける方法について解説します。定期的なミーティングで信頼関係を構築するコツがありますよ。

アイデア3:「対話の場」を設ける

心理的安全性を高めるには、メンバー同士が率直に意見を交換できる「対話の場」を設けることが効果的です。

その理由は、傾聴でもお話したが、対話をすることで相互理解が促され、人間間の絆(ラポール)が強くなるからです。

そんなわけで、具体的な対話の場の作り方をお話します。

1. 「アイスブレイク」で心理的な壁を取り払う

まずはミーティングの冒頭に、簡単なアイスブレイクを取り入れましょう。そうすることで、場が和んで、対話が活性化するからです。

例えば、「最近嬉しかったこと」を共有するなど、メンバーの人となりが垣間見えるようなテーマを設定します。

2. 「ラウンドロビン」で全員が発言できる機会を作る

「ラウンドロビン」という手法を使えば、全員が平等に発言できる機会を作れます。これも、心理的安全性を高めるのに効果的です。やり方としては・・・

  1. まず、お題を決めておきます。例えば、「会社の問題点」とかですね。
  2. それで、4~6人が車座になって座ります。
  3. で、順番に一人ずつ意見を言っていきます。次の人は前の人と違う意見を言うようにします。
  4. こうすることで、1周する頃には、色んなアイディアが出ている状態になります。

3. 「ファシリテーター」を置いて議論をスムーズに進行する

議論が脱線したり、特定の人が発言を独占したりすると、心理的安全性が損なわれてしまいます。

そこで、議論をスムーズに進行するための「ファシリテーター」を置きましょう。

ファシリテーターは、全員が発言できるように配慮しつつ、議論を整理し、合意形成を促す役割を担います。

次は、アイデア4「多様性を尊重」する方法について見ていきましょう。

アイデア4:「多様性を尊重」する

多様性を排除すると、排他的になってしまい、心理的安全性が崩れてしまいます。一方で異なる意見や背景を持つメンバーの力を引き出すことで、イノベーションが生まれやすくなります。

そんなわけで、多様性を尊重する態度は心理的安全性にとっても大事です。では、具体的にどのように多様性を尊重すればいいのでしょうか?

1. 「意見の違い」を歓迎する雰囲気を作る

「意見の違い」を歓迎する雰囲気を作るにあたり、まず「意見が違うということは、実はとてもいいこと」という共通認識を作ることが大事です。

例えば、次のようなメッセージを発信してみてはいかがでしょう。

意見が違うということは、実はとてもいいことです。

と言うのも、自分と違う意見の人がいないと、自分は成長できないからです。

昨日と同じ考え、同じ行動で生きるということですから。そうなると、昨日と同じ結果しか出ないわけです。

あなたが自分の意見を認めて欲しいように、相手も自分の意見を認めて欲しいのです。

必ずしも、相手の意見通りに行動する必要はありません。ただ「そういう意見もあるのだ」と認めてあげれば、お互いハッピーですよ。

共通認識を作った上で、意見の違いを歓迎するコメントを促していきましょう。

2. 「バックグラウンドの違い」を強みに変える

当然ですが、メンバーのバックグラウンドは一人一人違います。例えば、こんな感じ。

  • Aさんは営業経験が長い
  • Bさんは総務経験が長い
  • Cさんは過去に経営の経験がある

バックグラウンドの違いをふまえた上で、どう組み合わせれば相乗効果が生まれるかを考えるわけです。

要するに、「Aさんは営業経験が長いから営業をやってもらおう」という考えを超えて、

「誰と誰を組み合わせれば、チームの業績が最大化するか?」という視点から、チーム編成を考えるわけです。

もちろん、PDCAも忘れずに。

3. 「少数派」の意見に耳を傾ける

少数派の意見に耳を傾けることも重要です。

例えば、会議で発言が少ない人に「ご意見をお聞かせください」と声をかけるなど、意見を引き出す工夫をします。

多数派の意見だけでなく、少数派の意見にも光を当てることが、心理的安全性を高めるポイントと言えるでしょう。

次は、アイデア5「役割と責任」を明確にする方法について解説します。チームの目標達成に向けた個人の貢献を可視化するコツがありますよ。

アイデア5:「役割と責任」を明確にする

心理的安全性を高めるには、メンバー一人ひとりの役割と責任を明確にすることが大切です。

チームの目標達成に向けた個人の貢献を見える化することで、メンバーのモチベーションを高められます。

1. 「ロールマップ」で役割を明確にする

チームメンバーの役割を明確にするために、「ロールマップ」を作成するのがおすすめです。

ロールマップは、チームの目標達成に必要な役割を洗い出し、メンバーに割り当てるためのツールです。

各メンバーの強みを生かした役割設定をすることで、モチベーションアップにつながります。作り方としては、次の通り、

  1. チームの目標を明確にする:まず、チームで達成すべき目標を具体的に定義します。目標が明確でないと、役割分担もしにくいですからね。
  2. 目標達成に必要な役割を洗い出す:次に、目標を達成するために必要な役割を洗い出します。
  3. 例えば、新商品開発のプロジェクトなら、「マーケティング」「設計」「製造」「品質管理」などの役割が考えられます。
  4. 役割をメンバーに割り当てる:洗い出した役割を、メンバーの強みや経験を考慮して割り当てていきます。その際、メンバーの適性や希望もヒアリングすると、モチベーション高く役割を担ってもらえます。
  5. 役割の詳細を定義する:割り当てた役割について、具体的な仕事内容や責任範囲を定義します。これにより、メンバーは自分の役割をより明確に理解できるようになります。
  6. ロールマップを共有・更新する:作ったロールマップは、チームで共有します。役割が変更になる場合は、柔軟にロールマップを更新します。

2. 「OKR」で個人の目標を設定する

「Objectives and Key Results(OKR)」は目標管理と進捗管理フレームワークです。

OKRは、チームの目標(Objectives)に対して、個人が達成すべき成果(Key Results)を設定するものです。

OKRの特徴は、シンプルで分かりやすい目標設定と、短いサイクルでの進捗管理にあります。

Objectivesチームやメンバーが達成すべき大きな目標のこと。例えば、「新規顧客を獲得する」「製品の品質を向上させる」など。
Key ResultsObjectivesを達成するための具体的な成果指標。「新規顧客を月間100社獲得する」「不良品率を3%以下に抑える」など、数値化された指標を設定するのがポイント。

OKRの運用サイクルは、通常3ヶ月〜4ヶ月と短めに設定します。この短い期間で集中的に目標達成に取り組むことで、モチベーションを維持しやすくなります。

OKRの設定プロセスはこんな感じです。

  1. チームのObjectivesを設定する
  2. チームのObjectivesに紐づくKey Resultsを設定する
  3. メンバー個人のObjectivesとKey Resultsを設定する(チームのOKRと紐づけます)
  4. 定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて軌道修正する
  5. 期間終了時に目標達成度を評価し、次のOKRにつなげる

3. 「進捗共有会」で貢献度を可視化する

役割と責任を明確化するために、定期的に「進捗共有会」を開催するのも効果的です。

やり方として、一人ひとりが自分の役割に基づいて行動した結果を共有し、互いに称賛し合います。

そのために、貢献度を見える化するしくみは準備しておきましょう。自分の貢献がチームの目標達成につながっていることを実感できれば、心理的安全性が高まるはずです。

次は、アイデア6「承認と感謝」を伝える方法について見ていきましょう。メンバーの努力と成果を認め、モチベーションを高めるコツがありますよ。

アイデア6:「承認と感謝」を伝える〜メンバーの努力と成果を認め、モチベーションを高める

メンバーの努力と成果を認め、承認と感謝を伝えることは、心理的安全性を高める上で非常に重要です。適切な承認と感謝があれば、メンバーのモチベーションは驚くほど高まるものです。

1. 「小さな成功体験」を見逃さない

メンバーの小さな成功体験を見逃さないことが大切です。

例えば、「今日のプレゼンは分かりやすくてよかったですね」と、具体的な行動を褒めます。

小さな成功体験を認めることで、メンバーは自分の成長を実感でき、さらなる挑戦へのモチベーションが高まります。

これってとてもシンプルだけど、見落とされがちなポイントなんですね。「それは知ってるよ」ではなく、「それはやっているよ」と言えるようになりましょう。

2. 「プロセス」に着目して褒める

結果だけでなく、プロセスに着目して褒めることも重要です。

例えば、「困難な課題に粘り強く取り組んでいましたね」と、努力のプロセスを評価します。

結果が出なくても、プロセスを褒められることで、メンバーは安心して挑戦し続けられるでしょう。

7-3. 「感謝の言葉」を具体的に伝える

感謝の言葉は、具体的に伝えることが大切です。

例えば、「あなたのサポートがあったからこそ、プロジェクトを成功させられました」と、相手の貢献を具体的に言語化します。

抽象的な感謝ではなく、具体的な感謝の言葉があれば、メンバーのモチベーションは確実に上がるはずです。

最後に、アイデア7「リーダーがお手本」となる方法について解説します。

アイデア7:「リーダーがお手本」となる〜率先して心理的安全性のある行動を示す

心理的安全性を高めるには、リーダーがお手本となって行動することが何よりも大切です。リーダーが率先して心理的安全性のある行動を示せば、メンバーはそれを自然と模倣するようになるでしょう。

1. 「謙虚な姿勢」でメンバーの意見に耳を傾ける

リーダーは謙虚な姿勢で、メンバーの意見に耳を傾けることが大切です。

例えば、「私はまだ知らないことだらけです。みなさんのご意見を聞かせてください」と、メンバーの意見を尊重する姿勢を示します。

そうすることで、メンバーたちの自己重要感が高まり、チームに対してより前のめりに参加してくれるようになります。

なので、場合によっては、自分の知っていることでも「教えてください」というのは、すごく効果的です。

2. 「失敗を恐れない」姿勢を見せる

リーダーが失敗を恐れない姿勢を見せることも重要です。

というのも、リーダーが失敗しても、特に大きな問題が起きないことを知ると、メンバーたちも勇気をもって行動できるようになるからです。

例えば、「新しいことにチャレンジして失敗しても、それは成長のチャンスです」と、失敗を前向きに捉える発言をします。

3. 「傾聴と承認」を率先して行う

リーダーが傾聴と承認を率先して行うことで、チーム全体に心理的安全性の文化が根付いていきます。

普段から、メンバーの意見に耳を傾け、努力と成果を認める行動を心がけましょう。

リーダーがお手本となることで、メンバー同士も自然と傾聴と承認を行うようになるはずです。

まとめ

本記事で紹介した7つのアイデアは次の通りです。

  • アイデア1:「ミスを責めない文化」を作る〜失敗を学びの機会に変える方法
  • アイデア2:「傾聴のスキル」を身につける〜相手の意見を引き出し、理解を深めるコツ
  • アイデア3:「対話の場」を設ける〜定期的なミーティングで信頼関係を構築
  • アイデア4:「多様性を尊重」する〜異なる意見や背景を持つメンバーの力を引き出す
  • アイデア5:「役割と責任」を明確にする〜チームの目標達成に向けた個人の貢献を可視化
  • アイデア6:「承認と感謝」を伝える〜メンバーの努力と成果を認め、モチベーションを高める
  • アイデア7:「リーダーがお手本」となる〜率先して心理的安全性のある行動を示す

これらを参考に、自社の状況に合わせてできるところから少しずつ実践していきましょう。

リーダーが率先して行動を示し、メンバー一人ひとりを尊重する姿勢を持つことで、徐々に組織文化は変わっていきます。 心理的安全性の高いチームは、変化の激しい時代を乗り越え、持続的な成長を遂げられるはずです。今こそ、心理的安全性を育むチームづくりに取り組み、会社の未来を切り拓いていきましょう。

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