マズローの欲求5段階説

From:堀口寿人
早朝の朝焼けを感じて

食べる
歩く
話す
考える
寝る
怒る
笑う
・・・・

僕たちの毎日は、色んな行動の連続でできている。

そして、その行動の裏には必ず、あるものが存在する。

それが「欲求」だ。

一口に欲求と言っても、とても奥深い。実態もよく分からないし、つかみどころもない。

そんな、とらえどころのない欲求を上手にモデル化したものが「マズローの欲求5段階説」である。

ただ・・・マズローの欲求5段階説は有名な説で、色んな人が解説しているので、それをそのまま解説するだけじゃ面白くない。

だから、マズローの欲求5段階説の説明に加えて、色んな視点から欲求を分析してみたいと思う。

今回のお話をきちんと理解すれば、あなたは今以上に人の欲求の仕組みがよく分かるようになるだろう。そして「なぜあの人はああいう行動をとるのか?」がよく分かるようになるだろう。

ということで、まずはマズローの欲求5段階説がどんな考え方なのかを理解しよう。

マズローの欲求5段階説とは?

一番上の図を見て欲しい。

これは、マズローの欲求5段階説を表したものだ。直観的に分かりやすいモデルだと思う。

見ての通り、人の欲求は生理的欲求に始まり、自己実現欲求に至るまで、階層的になっているという考え方だ。

じゃあ、順番に欲求の内容を見ていこう。

生理的欲求

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これは、人間が生きるための基本的な欲求だ。生存欲求と言ってもいい。

具体的には、食べたい、飲みたい、寝たい、便をしたい、SEXしたいなどだ。人間に限らず、生命なら必ず最初に欲するものばかりだ。

縄文時代、女性は木の実などを採ってきて、男性は狩りなどで、その日の食事をまかなっていた。

でも、そんな暮らしをしていると、だんだん身の回りに食料がなくなってくるので、また移動する。そんなことを繰り返していた。

とにかく最低限生きていくために必要なことをやっていたわけだ。

この欲求が満たされたとき、僕たちは次の欲求を持つようになる。それが、安全の欲求だ。

安全の欲求

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安全の欲求は、危険を避けて、より安心して生きたいという欲求だ。

縄文時代から時代が進んで、弥生時代。人は稲作を覚えた。できた米は倉庫に保存することで、安定して腹をふくらすことができるようになった。それによって食料がなくなる心配がなくなって、定住できるようになった。

この弥生人の「米を保存しておこう」という考えは、まさに安全の欲求である。

現代でも、セコムしたり、防犯カメラを取り付けたり、オートロックに住んだり、暗証番号を設定したり、保険に入ったりするのも安全の欲求が働いているからだ。とにかく人は安心して生きていたいのだ。

しかし、その欲求も満たされたとなると、僕たちはさらなる欲求を持つようになる。所属と愛の欲求である。

所属と愛の欲求

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この欲求は、集団に所属し、仲間や友人を得たい欲求だ。人は一人で生きられない。いい仲間がいると、それだけで人生はハッピーである。

前に、僕の祖母が、こう話していた。

「今度友達5人で温泉旅行行くんよ。毎月行くんだけど、それが楽しみでね~。本当に友達っていいものだよ。寿人も友達は絶対に大事にしなよ。」

そう考えると、人はいつまでたっても、仲の良い友人や、家族に囲まれて生きていたいのだ。

そして、所属と愛の欲求も満たされると、さらに上の欲求を望むようになる。尊敬の欲求だ。

尊敬の欲求

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これは読んで字のごとくだ。人から尊敬されたい、認められたい欲求のことである。承認の欲求とも言う。

がんばり屋さんに多い欲求だ。

そう言えば、僕が3歳のころだろうか・・

歩けるようになって間もない僕は、押し入れの真ん中の段から、飛び降りるのをしきりに親にアピールしたものだ。

「早くも僕は高いところからジャンプできるようになったんだぞ!すごいだろ!?」ってなもんだ。まさしく尊敬の欲求だ。

ちなみに、このエピソード、実は僕は覚えていない。父親から何度も聞かされている内に刷り込まれてしまったものだ。父親もほほえましく思っていたのだろう。

そして、これが満たされれば、いよいよ最後の欲求だ。

自己実現の欲求

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この欲求だけが少し分かりづらいかもしれない。

簡単に言うと、僕たちは成長する中で、だんだんと「自分はこうありたい」というイメージを持つようになる。

そのとき、僕たちはありたいイメージに近づきたくて、努力する。そのときの欲求が自己実現の欲求だ。

例えば、僕は「まったく怒らない優しさに満ちた人間になりたい」と本気で思っている。

だから、そのために思い込みのトレーニングをしたり、瞑想実践したり、心理学の勉強を続けたりしている。

そのときの「がんばろう」という意欲が、自己実現の欲求だ。

さて、ざっと話してきたマズローの欲求5段階説だが、実はいくつか分類の仕方がある。それも覚えておくと、もっと人の欲求を理解しやすくなる。

マズローの欲求5段階説の分類1

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まず、分類の一つ目は、欠乏欲求と成長欲求だ。5つの欲求階層がどちらかに分類される。字面だけで分かりそうだが、順番に見てみよう。

欠乏欲求

欠乏欲求とは、満たされていないものを満たしたいという欲求だ。イメージで言うとマイナスを0にしたいという感じだ。

欠乏欲求に分類されるものは・・・・

  • 生理的欲求
  • 安全の欲求
  • 所属と愛の欲求
  • 尊敬の欲求

の4つだ。自己実現の欲求以外全部という見方もできる。

成長欲求

成長欲求とは、さらに高みを目指したいという欲求だ。イメージで言うと、0からプラスを目指す欲求だ。

分類されるものは、残った自己実現の欲求だ。

さて、それでは、別の分類も見てみよう。

マズローの欲求5段階説の分類2

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二つ目の分類は、一次欲求と二次欲求の分類だ。この分類も生物学的に重要な分類なので、ぜひ理解しておいてほしい。

一次欲求

まず、一次欲求だが、生きるための本能的な欲求のことだ。生まれた時からすでに持っている欲求だ。

あれ?どこかで聞いたような内容だよね?

そう。一次欲求とは、生理的欲求のことである。

二次欲求

二次欲求は、僕たちが発達する中で獲得する欲求だ。言うなれば後天的にできるイメージだ。分類としては、生理的欲求以外の、次の4つが該当する。

  • 安全の欲求
  • 所属と愛の欲求
  • 尊敬の欲求
  • 自己実現の欲求

マズローの欲求5段階説の分類3

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さて、最後の分類だ。

この分類はおそらく誰もやってない分類だ。でも僕が思うに一番大事な分類だ。

なぜなら、この分類無くして、僕たちは絶対に幸せになれないからだ。

この分類は僕たちが欲求とどう上手に付き合えばいいかを理解するのに役立つ。

ということで、最後の分類は、「意義ある欲求」と「意義ない欲求」だ。

意義ある欲求

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まず、これまでの分類と違うのは、マズローの欲求5段階説のモデルを縦に分けるイメージを持ってほしい。全ての欲求に陰と陽、プラスとマイナスが対になっているイメージだ。

全ての欲求は、意義ある欲求と、意義ない欲求の2面性がある。

じゃあ、意義ある欲求とはどういうものかというと、簡単に言うと「幸せにつながる」欲求の事だ。

幸せとは、別の記事でも詳しく説明しているが、悩みがない状態のことを言う。詳しくは、「幸せとは何か?幸せの本当の意味を探る」を参考にして欲しい。

ということで続きだが、悩みがない状態を作るためには、僕たちはどんどん成長していく必要があるわけだ。

あなたは昔悩みだったけど、今は悩みじゃなくなったことはないだろうか?

僕の場合で言うと、小学生のときに集団のいじめを経験して深く悩んでいた。

でも、その後に「管理者養成学校」というリーダーを育成する合宿に参加し、中学生になったころにはいじめはなくなっていた。当時いじめていた人も僕に友好的になっていた。

そんな経験がある。これは合宿で僕の価値観が変わったからだ。それからはいじめられるようなことはなくなった。

こんな感じで、人は成長することで悩みがどんどん減っていく。つまり幸せになっていくわけだ。

そのためには、僕たちはある程度健康で安全な環境で生き続け、成長し続ける必要がある。それに必要な欲求が意義ある欲求だ。
例えば、

  • 生理的欲求だと、「生きるために食べたい」という欲求は意義がある。
  • 安全の欲求だと、「邪魔されず安心して仕事できる部屋が欲しい」という欲求は意義がある。
  • 所属と愛の欲求だと、「あるときは自分のために叱ってくれ、あるときは優しく導いてくれる仲間とつながっていたい」という欲求は意義がある。
  • 尊敬の欲求だと、「正当な仕事によって社会的な認知を得たい」という欲求は意義がある。
  • 自己実現の欲求だと「自分の悩みをなくすために、より世の中に役立つ自分になるために自分を成長させたい」という欲求は意義がある。

それぞれの欲求を、自分や人の幸せのために利用するなら、それは意義ある欲求になる。

意義ない欲求

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それに対し、不幸につながる欲求が意義のない欲求だ。

例えば、生活習慣病がいい例だ。生活習慣病の主な原因は食べ過ぎだ。

本来生きるために食べるはずなのに、逆に食べることによって自分の命を危険にさらしている。本末転倒だと思わないだろうか?

ここで「パンを食べる」ところをイメージして欲しい。

もし、あなたが生きるために必要なパンが3個なら、その3個のパンを食べたいという欲求は意義がある。

でも、4個めのパンを食べたいと思ったら・・・

4個目のパンを食べたい欲求から意義のない欲求になる。

だから「パンを食べたい」という欲求自体は、意義があるともないとも言えない。あなたの状況によるのだ。

じゃあ、意義ない欲求はどんなものがあるかというと・・・

  • 生理的欲求だと、「ただ、おいいしいからという理由で、必要な限度を超えてご飯を食べたい」という欲求は意義がない。
  • 安全の欲求だと、「人に自慢したくてセキュリティの厳重なマンションを借りたい」という欲求は意義がない。
  • 所属と愛の欲求だと、「犯罪グループに所属したい」という欲求は意義がない。
  • 尊敬の欲求だと、「合コンで自分がもてるためだけに仲間を押しのけてアピールしたい」という欲求は意義がない。
  • 自己実現の欲求だと「ヒトラーのような最高の独裁者になりたい」という欲求は意義がない。

意義の見分け方

それでは、異議があるかないかはどうやって見分ければいいのだろうか?

実は、その見分け方は簡単だ。

「それは必要ですか?欲しいですか?」と自分に聞くのだ。

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もし、答えが「必要」なら、その欲求は意義ある欲求の可能性が高い。
もし、答えが「欲しい」なら、その欲求は意義ない欲求の可能性が高い。

というのも、欲しいかどうかは僕たちは本能的に判断する。本能とは無意識の働きなので、僕たちは「欲しいか欲しくないか」を無意識に何となく判断している。(古い脳の働き)

一方で、必要かどうかを判断するのは、理性だ。理性は意識的に働かせないと働かない。理性は根拠を見つけて、「それが自分の幸せに必要かどうか」を冷静に見分けてくれる。(新しい脳の働き)

まとめ

マズローの欲求5段階説は、人の欲求を次の5階層に分けて説明したものだ。

  • 生理的欲求
  • 安全の欲求
  • 所属と愛の欲求
  • 尊敬の欲求
  • 自己実現の欲求

どの欲求も、僕たちにとって意義ある面と意義のない面の2面性を持っている。

だから、僕たちは「何かしたい」と欲求を持ったとき、その欲求は自分にとって「意義があるかないか」を冷静にチェックする必要がある。

「それは必要ですか?欲しいですか?」と自分に聞くことで、今持っているのは意義がある欲求か、ない欲求かをチェックできる。

そうやって意識的に意義ある欲求を選択し、満たすことで、僕たちはどんどん幸せになっていく。

というわけで、今回はこの辺で。また分かりづらいところがあったり、何か僕に伝えたいメッセージがあれば下(↓)のコメントから気軽にコメントして欲しい。

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