From:堀口寿人
初雪を見ながら
成功とは何か?
そう聞かれたら、あなたは何と答えるだろう?
ちなみに、ウィキペディアには、こう載っている。
成功は、計画などがうまくいき目標が達成できたことや、社会的に一定以上の地位を得たことを指す。失敗の対義。
もっと、ざっくり言うと、自分が「こうしよう」と思った未来のイメージが現実になれば成功だ。
もし、そうだとしたら、あなたはすでに今日たくさんの成功をしていないだろうか?
例えば、
- 6時に起きようと思って、実際に起きられたら成功だ
- 7時にパンを食べようと思って、実際に食べられたのなら成功だ
- 8時に会社に行こうと思って、実際に会社へ行けたのなら成功だ
でも、一つ問題がある。それは、今言ったようなことが「成功体験」と思えないことだ。
ということで、この記事では、
- あなたがすでに経験している成功体験を、実際に成功していると思えるにはどうしたらいいか?
- そして、さらに成功体験をたくさん増やすにはどうしたらいいか?
というような視点で解説していく。
この記事を読み終えたころには、成功体験をより身近に感じれるようになっているはずだ。
成功体験とは何か?
改めて成功体験について、具体的にしていこう。
さっき成功体験とは自分が「こうしよう」と思った未来のイメージが現実になることと話した。これは、言いかえると、「何かゴールがあって、そこにたどり着くこと」だ。
例えば、あなたが最寄りのコンビニに行くのをイメージして欲しい。コンビニに行く前に、あなたは「今からコンビニへ行こう」と思うはずだ。このとき、コンビニがゴールになる。そして、あなたは適切な道をてくてく歩いてコンビニにたどり着く。
普段あなたが何気なくやっている「コンビニへ行く」という行動。これも、実は毎回成功体験を積んでいるわけだ。あなたが実感できているかどうか別にして。
じゃあ、もう一つ別の例。
ゴールがコンビニじゃなくて、方位の南だったとしたらどうだろう?
あなたは「南に行こう」と思って、南に歩き出す。でも、永遠に南にたどり着くことはない。
何でって?
「ここが南ですよ」という特定の場所はないからだ。だから、ゴールを「南」に設定したら、あなたは成功できない。
じゃあ、あなたの実生活ではどんなゴールを設定したらいいだろうか?
成功体験のためのゴール設定
じゃあ、ゴール設定についてだけど、大きく分けて2つの方法がある。他にも分け方はあるかもしれないけど、とりあえず今回はこの2つで考えてみる。
- 他人をゴールにする
- 自分でゴールを決める
の2つだ。
他人をゴールにする
これはいわゆる、人と比べて勝てば成功という考え方だ。
例えば、中学時代のテストを思い出してほしい。友達をゴールにした場合、友達にテストの点数で勝てば成功で、負けたら不成功みたいな感じだ。
このやり方は、次の2つの理由でお勧めしない。
ゴールが特定できない
まず、他人と比べるということをやりだすと、ゴールが無数にできる。だってあなたのまわりに他人は不特定多数いるからだ。
誰かに勝っても、また別の誰かには負けるだろう。ということは、永遠に勝った負けたのゲームをやり続けないといけないわけだ。
それは言いかえると、「成功体験を積み重ねていけない」ということだ。
ゴール自体があいまい
仮に相手を特定したとしても、そもそも、他人というゴール自体もあいまいだ。
例えば、「お金」で考えてみよう。
ある人Aさんに、お金に関して何をもって勝ったと言えるのだろう?
- 月々の収入だろうか?
- 貯蓄の額だろうか?
- 持っている資産だろうか?
- お金の使い方だろうか?
仮に月々の収入だとしても、他人がどれだけ稼いでいるかなんて本当のところどうやって分かるのだろう?
「頭の良さ」に関してもそうだ。何を持って、頭がいいというのだろう?
- 知識が多いことだろうか?
- 長い間集中できることだろうか?
- 人に対して機転がきくことだろうか?
- 判断スピードだろうか?
- 学歴だろうか?
お金と同じで、色んな判断基準があって、簡単に決められるものじゃない。
だから、「他人に頭の良さで勝つ」というのは、「南へ行く」と同じくらいゴールがあいまいで、絶対に達成できない。
そんなわけで、他人をゴールにしても、成功体験を積み重ねにくいのは分かってもらえたと思う。
もちろんオリンピックで金メダルをとるような人であれば、人に勝つというゴールも成り立つかもしれない。
でも、おそらくあなたはそんなことを目指していないだろうし、別にまわりの人に勝たなくても、もっと簡単に確実に成功体験を積む方法はある。
それが、自分をゴールにする方だ。
自分をゴールにする
自分をゴールにするとは、自分がどうなるか、自分が何をしたかをゴールにするということだ。他人の場合と違って、この場合は明確だ。
ゴールが特定できる
他人をゴールにした場合、他人は不特定多数いるわけだから、ゴールを特定できないと説明した。
でも自分は一人だ。あなたは昨日の自分に勝つだけでいい。あなたが勝つべき対象は、それ以上いない。
昨日の自分より1ミリでも前に進めば、成功なわけだ。
ゴールが具体的
それに、ゴールを自分が決めるわけだから、具体的なゴールを設定できる。
例えば、「本を10ページ読む」というゴールは具体的だ。何をすればいいかが一目でわかるし、ゴールの達成度も一目瞭然だ。
もし本を5ページ読んだとしたら、達成率は50%という感じで。そして10ページ読めば、達成率は100%。つまり成功だ。
どんな成功体験も成功体験に変わりない
ここまでで、もしかして、あなたは次のように感じるかも知れない。
- 自分で決めたゴールを達成するより、他人に勝った方が成功体験として大きいのではないか?
- 自分で決めた小さなゴールを達成しても、大した成功体験は得られないのではないか?
こういった疑問は当然生まれるだろう。
ただ、面白いもので、僕たちの脳は、ゴールが大きかろうが小さかろうが、他人をゴールにしようが、自分で決めたゴールだろうが、どんな達成であっても「達成は達成」と感じる。
言いかえると、どんな成功体験も、成功体験に変わりはないわけだ。
だから、小さいゴールであっても、それを達成することで、頭の中にはこんな感じで情報が積み重なっていく。
- 朝6:00に起きる→成功
- 本を10ページ読む→成功
- ブログを1記事書く→成功
- 腕立て伏せを10回する→成功
- 7:52の電車に乗る→成功
- ・・・
これは言いかえると、ふと上がってくる過去の記憶の多くが「成功の記憶」になることを意味している。
これが、強い自信や自己効力感のカラクリだ。
じゃあ、いよいよ本題。
これまでの話を踏まえて、どうやって成功体験を作っていくか?その具体的な方法を見ていこう。
成功体験を作る方法
シェイピング法
これは、小さな成功を積み重ねる方法で、科学的にも効果のある方法だ。
名前はたいそうだが、やり方は簡単だ。ものごとをできるだけ細かい単位に分解して、それを一つずつ実行するだけだ。
例えば、「本を読む」について考えてみよう。ざっくりと「本を読む」と決めた所で、このままだと「どうすれば達成か」が分からない。
- 1~50ページまで読む
- 50~100ページまで読む
- 100~150ページまで読む
のように小さなステップ分解するわけだ。そうすることで実行しやすくなって、どうすれば達成かがよく分かるようになる。
「たったこれだけ?」と思うかもしれない。でも、たったこれだけだ。面白いもので、たったこれだけが、なかなか続かない。それは、小さなステップの効果を見くびっているからだ。
富士山をイメージして欲しい。日本一大きな山で、近くに行くと、ますますその圧倒的な大きさが実感できる。でもよく見ると・・・
それは、小さい砂つぶや石の寄せ集めだということが分かる。「富士山」という大きな物体がドンとあるわけじゃないわけだ。
どんなに大きな成功を積み重ねている人でも、その裏には必ず小さな成功の積み重ねがある。それが外に見えるか見えないかは別にして。
もしその事実が疑わしいなら、実際にまわりを観察してみて欲しい。
大きく見える物体、大きく見える成功、大きく見える人格・・・
何でもいい。それらは本当に、大きな一つの塊でできているのかを。断言するが、絶対にそう言うことはない。そして、この小さなステップの達成・成功を後押しするのが次に紹介する時間割法だ。
時間割法
小学校の時間割を思い出してほしい。今思い返すと、時間割は本当によくできている。
というのも時間割は、集中力の弱い子供達でも集中できるように工夫されているわけだ。例えば、一限を45分にして、休憩を10分にして、みたいに完全に仕組み化されている。
だから、小学生も、
- 今日の勉強はいつから始まって、
- いつ休憩ができて、
- 今日一日で自分は何を学んで
- いつ自分は帰れるのか
を、朝学校に来た時点から、もう理解できているわけだ。この時間割の仕組みを応用したものが時間割法だ。
時間割法を使って、自分の人生を時間割化することで、今自分は何をすべきで、その結果何が得られるのかがよく分かるようになる。
じゃあ早速そのやり方を見ていこう。
一限の設定
まず、一限の長さを設定する必要がある。小学生の一限は45分かも知れないが、大学生の一限は90分かも知れない。
こんな感じで人によって一限の長さは違う。大事なのはムリなく集中できる時間にすることだ。
ちなみに僕は一限90分に設定している。でも、一限60分でもいいし、50分でもいい。大事なのはその時間で固定することが大事だ。
休み時間の設定
次に休み時間を設定する。休み時間によって気持ちの切り替えや、身体や頭を休められたりする。だから絶対に必要だ。
休みの決め方のコツだけど、できるだけ限と休み時間を足してバランスがいい方がいい。例えば、1コマ50分、休み時間10分だと、60分のくり返しでバランスよく時間割ができる。
ちなみに、僕の場合は一限90分の休み時間30分に設定している。そんな感じで、限と休みを足して二時間周期で回るようにしている。
こうすることで、それぞれの限の始まりや終わりの時間が把握しやすくなるわけだ。
「今13;00だから4限目が始まるな」「今14:30だから4限目が終わりだな」みたいな感じで。
時間割にやるべきことを当てはめる
この時点で、空っぽの限と休みの枠だけが敷き詰められた時間割ができているはずだ。後は、その空っぽの限に、やるべきことを当てはめていく。
このとき当てはめるのは、シェイピング法で分割した小ステップになる。
例えば、「13;00から4限目が始まる。そこでは本を1~50ページまで読む。」のようになる。
どうだろう?
自分がいつ、どこで、何をすべきかが一目瞭然だと思わないだろうか?そして、そのステップが達成できたかどうかも一目瞭然だ。
ここで、もう一つコツとしては、限の間に十分に収まる程度のステップを作っておくことだ。
例えば、一限90分に設定したとしたら、「おそらく70分か80分くらいで終わるだろうな~」というくらいのステップに分割するわけだ。
そうすると、何限あれば目標が達成できるかが分かるわけ。
例えば、200ページの本を読むとして、一限90分で50ページ読むとする。それだと単純に四限あれば、その本を一冊読めるということが本を読む前から分かる。
自分の人生に集中する
時間割まで出来上がったら、後はやるだけだ。それを実行することだけに集中しよう。
僕たちはつい人と比べてしまう。これは人間ならだれでもある習性だ。
これは仏教では「慢」と言って、まわりと比べる要素を僕たちは生まれつき持っていると説明されている。
だから、放っておくと、僕たちは無意識にまわりと比べようとしてしまう。でも、いくらまわりと比べたところで、僕たちの人生が豊かになることはないし、成功体験が増えるわけでもない。
僕たちに人の人生を構っている暇はない。自分という暴れ馬一頭さえも手なずけることができないのだから。
だから、まず自分を自分の思い通りにコントロールできるようになることが先決だ。
補足しておくが、これは「人が困っていても放っておく」という意味じゃない。「無意味なことにいたずらに時間を費やしてはいけない」という意味だ。
仏教ついでにもう一つ。経典の言葉を紹介しよう。
いかに他人にとって大切な目的であっても、あなたの目的を見失ってはいけない。あなたの目的をよく知って、あなたの目的に専念しよう。
ダンマパダ166
まとめ
成功体験とは「こうしよう」と思った未来のイメージが現実になる体験のことだ。つまり、すでにあなたは多くの成功体験をしている。
だからまず最初にやるべきなのは、それらの成功体験をきちんと一つずつ数えること。それだけで格段に成功したという感覚、つまり成功体験が増える。それだけでポジティブな力がグンと増すはずだ。
その上で、さらに成功体験を増やそうと思えば、
- シェイピング法
- 時間割法
をセットで実行するといいだろう。そして、最後に心構えとして、自分の人生に集中することを毎朝決意しよう。
一粒の砂も集まれば富士山になるように、小さなステップは、あなたの成功体験を大きく育む。