仏教式!問題解決の王道プロセス:手順や進め方

From:堀口寿人
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あなたにとって、問題とは何だろうか?

よくあるのは、こんな問題だ。あなたは、いくつ当てはまるだろうか?

仕事が辛い?利益が薄い?夫婦関係が悪い?将来への不安?日々のむなしさ?焦り?イライラ?親しい人の死?老い?病気?嫌いな人との付き合い?希望が叶わないこと?自由がない?楽しみがない?生きる目的が分からない?生きがいがない?

このまま書き続けると、数限りなく出てきそうだ。

確かにその通り!全部問題だ。こういった人生の問題全部をひっくるめて、仏教では一言で表現している。それが「ドゥッカ:dukkha」だ。日本語では「苦」と訳す。その苦が全部完璧になくなった状態が「悟り」というわけだ。

では、どうやったら苦のある普通の状態から、悟りに至れるのか?そのプロセスが、「四聖諦(ししょうたい)」と呼ばれるものだ。

実は、この四聖諦、その構造自体が、どんな問題解決にも使える王道的な構造になっている。

つまり、四聖諦の構造を理解すれば、どんな問題に直面したときでも、その考え方を応用できるということだ。そして解決に導いていける。

では、「王道的な問題解決法である四聖諦はどんな構造になっているのか?」それを早速見ていこう。

問題解決の4つのプロセス

四聖諦は、字からも想像できるように、次の4つのプロセスからできている。

プロセス1:問題

まず、最初のプロセスは「問題」だ。問題解決という以上、問題が明らかでないと始まらない。そう言うと当たり前に聞こえるけど、この段階から、すでにハシゴを掛け違えている人をたまに見る。

ありがちなのは、自分が「何か」を解決しようと思っているのだけど、「何を」解決すればいいか分かっていないといったケースだ。

とくに僕たちは問題を抱えているとき、思考がストップしやすい。そういう状況では、感情的になって明晰な考えができなくなる。だから、自分の問題が分からないという状況が生まれてしまうわけだ。

くどいようだが、大事なのでもう一度言う。問題解決の最初のプロセスは「問題を明確に理解すること」だ。

problem-solving-process2ここで、もう一つ大事なことが「問題の範囲をしっかり定めておくこと」だ。

例えば、「全ての人のあらゆる悩みを解決する」という目標は達成されるだろうか?

まず、達成されない。その理由は、問題の範囲が広すぎるからだ。

これが、もし「100人の人の夫婦問題を解決する」だったとしたら、どうだろう?

さっきより、解決できる可能性はグッと高くなる。問題の範囲が定められたからだ。

プロセス2:問題の原因

問題が明らかになったら、次に必要なことは、問題の原因を明らかにすることだ。というのも、問題だけでなく、この世の全てのものは因果法則という法則に従って変化しているからだ。

もし、あなたが因果法則について疑いを持っているとしたら、ここであなたに一つ質問したい。

世の中で、「これには絶対に原因は存在しない!」と言い切れる現象は何かあるだろうか?

「絶対に原因はある」と言い切れるものはあっても、「絶対に原因はない」と言い切れるものはないはずだ。

ただ、圧倒的に多いのが「原因がよく分からない」現象だ。そういった原因がよく分からない現象を解き明かすのが科学というわけ。つまり、科学も因果法則を前提に成り立っている。

話がずれたので、元に戻そう。

problem-solving-process3つまり、何か問題があっても、必ずその問題を起こしている原因があるということ。その原因は1つかもしれないし、複数あるかもしれない。でも、何かしら関係している原因がある。

余談だが、僕は、慢性腎炎を患っている。腎臓の機能がどんどん弱くなっていく病気だ。でも、ある事をすると、「腎臓の悪化を止められる」という知らせが入った。

では問題。その、あることとは何だったでしょう?

答えは、「扁桃腺を切ること」だった。風邪になるとハレる喉のやつね。普通は絶対分からないよね。

でも、科学的に言うと、「腎臓の悪化」という問題の原因は、「扁桃腺」だったわけだ。実際に、今のところ僕の腎機能は、それほど悪化せず落ち着いている。

プロセス3:問題が解決された状態

そして、プロセスの3つ目は、問題が解決された状態を明らかにすることだ。要は「問題が解決されたらどうなるのか?」を、ちゃんと理解しておくこと。

このプロセスも抜け落ちている人が多い。

例えば、以前、ある知り合いの40代の女性から「子供が全然勉強しなくて困っている」と相談を受けたことがある。

でも、よくよく話を聞いてみると、当の本人であるお子さんは、それほど困っていないという話だった。実は、「子供が全然勉強しなくて困っている」のは、親だったわけだ。

それで、何で子供が勉強しないと困るのか尋ねたら、次のように返ってきた。

「今のうちに勉強しておけば、将来何かつぶしが効くかもしれないし・・・云々」

problem-solving-process4要するに、何かよく分からない将来のために、無理矢理子供に勉強させようとしていたわけだ。これは、お子さんもたまらない。

問題解決された状態がどんな状態か分からずに問題解決しようとすることは、行先不明の電車に飛び乗るようなものだ。

なので、問題解決の前に、「問題が解決されたらどうなるのか?」を明確にしておく必要がある。

プロセス4:問題の解決法

そして、最後に問題の解決法を明らかにして、それを実践する。これが問題解決の4つのプロセスになる。

言い換えると、

  • 問題
  • 問題の原因
  • 問題が解決された状態

の3つが明らかになっていないと、いくら問題解決法を実行しても、あんまり意味がないということだ。

あまりにシンプルで拍子抜けしたかもしれないが、これが問題解決の真実だ。このプロセスを忠実に踏むだけで、どんな問題も解決に向けて前進できる。ただ、問題の大きさによって、解決までの時間はまちまちだが。その点は注意が必要だ。

各プロセスの関係性

実は、今お話した4つのプロセス。その順番にも意味がある。大きく分けて、始めの2プロセス、終わりの2プロセスに分けられる。

さて、あなたはその関係性に気づいただろうか?

始めの2プロセス

まず、最初の2つのプロセスだ。この2プロセスは、「問題」に関するセットになっている。

そして、これらの関係性は、さっきも説明したように、原因と結果の関係になっている。

つまり、プロセス1(問題)が結果、プロセス2(問題の原因)が原因という関係性だ。まず、結果を明らかにして、次にその原因を探るという形になっている。

終わりの2プロセス

次に、終わりの2プロセスを見てみよう。この2プロセスは、「解決」に関するセットになっている。

そして、これもプロセス3(問題が解決された状態)が結果、プロセス4(問題解決法)が結果という関係性になっているのが、お分かり頂けるだろうか?

やっぱり結果が先で、その後に原因が続くという構図になっている。

なぜ結果が先なのか?

因果というくらいだから、順番で言えば、原因→結果で考えた方がよさそうに思わないだろうか?

でも、なぜ結果を先に明らかにする必要があるのだろう?

それは、たいてい結果は目に見えるもので、原因は目に見えないものだからだ。これはとても重要なポイントだ。

problem-solving-process5例えば、街を歩いていると最高級のベンツに乗っている人を見かけることがある。でも、「なぜその人が、最高級のベンツに乗っているのか?」までは、分からない。

  • 自分の仕事で稼いで買ったのかもしれない
  • オークションで安く競り落としたのかもしれない
  • 友人から譲ってもらったのかもしれない
  • たまたま1日だけ借りて乗っているのかもしれない
  • 親の遺産で買ったのかもしれない
  • 借金して買ったのかもしれない
  • 宝くじに当たって買ったのかもしれない

こんな感じで、僕たちが目で見たり、五感で感じているものの多くは、たいてい何かの結果だ。原因は、慎重に分析したり観察したりしないと分からないことが多い。

もちろん、世の中の現象は、「これが原因、これが結果」とはっきり分けられるものばかりじゃないが。でも、だいたいのところ、そう考えて間違いない。

だから、まずはっきりと観察できる「結果」からアプローチして、次にその原因を探るというのが、問題解決の正しいアプローチになる。

最大の問題解決とは?

じゃあ、最後に、今回の問題解決の考え方のもとになった、四聖諦について簡単に説明しようと思う。

くり返しになるが、四聖諦は、最高の幸せの境地と言われる「悟り」へ至る方法を説明したものだ。僕たち人間(実際は全ての生命)にとって、これ以上に価値のある問題解決はないだろう。

というのも、僕たちの問題解決は、最初に話した「ドゥッカ:dukkha」の一部を取り出して解決しようとしているに過ぎないからだ。というのも、ドゥッカ(苦)は全ての悩み苦しみをまとめた名前だからだ。

例えば、「夫婦のすれ違い」はドゥッカ(苦)の一部だ。でも、夫婦のすれ違いを解消しても、人生の悩み全てが無くなるわけじゃない。それほどドゥッカ(苦)の意味は広い。

というわけで、四聖諦の内容は次のような感じになっている。

一つ目は、今お話した苦だ。苦には、あらゆる悩み苦しみが含まれると話した。その苦は大きく分けて、次の八つに分類できる。

  • 生・・・生きる苦しみ
  • 老・・・老いる苦しみ
  • 病・・・病気になる苦しみ
  • 死・・・死ぬ苦しみ
  • 愛別離苦・・・好きなものとの別れる苦しみ
  • 怨憎会苦・・・嫌いなものとの出会う苦しみ
  • 求不得苦・・・求めても得られない苦しみ
  • 五取蘊苦・・・自分に執着することから生まれる苦しみ

僕たちが、人生で経験する悩み苦しみは、必ずこのどれかに分類できる。

最後の「五取蘊苦」だけ、分かりづらいと思うので、簡単に説明しておこう。

例えば、あなたが美容院に行ったとしよう。そこで、「前髪はこうして、毛先はこうして・・・」など色んな注文を付けたとしよう。

problem-solving-process6そして一時間後・・・

いざ、できあがった髪型を見てみると、丸坊主だった!

さて、あなたはどう思うだろう?

もちろん、最初から丸坊主をオーダーしていれば、オーダー通りだ。でもそうじゃなければ、あなたは、ものすごくイライラしたり悩んだりしないだろうか?

まさしく、そのときに生まれる苦しみが五取蘊苦だ。つまり、自分という存在に執着していることから生まれる苦しみだ。自分はこうありたい、こういう存在でありたい、こういう風に見られていたいといった自分に対する執着から生まれる悩みだ。

何となく、イメージしてもらえただろうか?

problem-solving-process7集とは問題の原因のことだ。集はTanhâ(タンハー)と言い、日本語では、渇愛と訳される。これは、ざっくり説明すると「生存欲」のことだ(厳密じゃないけれど)。

僕たちは生命だ。生命として生きている以上、「こう生きたい」「これが欲しい」という欲が生まれる。そういう欲が渇愛だ。

そういった欲が、上であげた苦の原因になっているわけだ。

というのも、そういった自分に対する欲によって、僕たちは焦り、心配し、常に縛られた状態に陥る。つまり欲があると、すっきりした爽快な自由を感じることはできない。

これは、自分の心を観察すれば簡単に確認できる。

これは苦が滅した状態。つまり悟り(涅槃)を意味する。

悟りに達したとき、自分に対する執着が全く無くなる。そのため、自分が何をされようと、何を言われようと、常に穏やかで平静な心理状態でいられる。

つまり、世の中のあらゆるストレス因子に対して全く影響されなくなるわけだ。じゃあ、どうすればこの状態に達することができるのか?

そのための方法が、次に紹介する「道」だ。

道とは、苦から滅への道という意味だ。つまり、苦を滅する方法という意味になる。具体的には、八正道という八つの道からなる。

  • 正見・・・正しい見方・信念
  • 正思惟・・・正しい考え方
  • 正語・・・正しい言葉
  • 正業・・・正しい行い
  • 正命・・・正しい仕事
  • 正精進・・・正しい努力
  • 正念・・・正しい気づき
  • 正定・・・正しい集中

この八つを実践することで悟りに至れると解説されている。ただ、実際僕たちのような一般の人間にとって、その道のりは長い・・・。僕もまだまだ旅の途中だ。

四聖諦について、もっと知りたい場合は、またリクエストして欲しい。リクエストが多い場合は、また別で特集しようと思う。

まとめ

問題解決のプロセスは、次の4つからなる。

  1. 問題を明らかにする
  2. 問題の原因を明らかにする
  3. 問題が解決された状態を明らかにする
  4. 問題の解決法を明らかにして、実践する

1と2は問題に関する項目であり、1は結果で2はその原因である。また3と4は解決に関する項目であり3は結果で4はその原因になっている。

この4つのプロセスは、王道的な問題解決プロセスであり、どんな問題にも応用できる。

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