From:堀口寿人
金沢の自宅事務所より
この記事では「思考にはどんな特徴があるか?」という視点で説明していく。
その際に、思考に似た言葉で、「妄想」という言葉がある。妄想とは思考と同じような意味でつかわれるが、実際は意味は違う。言葉が違うからね。
というわけで、思考の特徴と妄想の特徴を比べる形で、思考の特徴をくっきりさせようとしたのが今回の記事というわけだ。
なので、思考そのものの意味や種類などを知りたい場合は、「思考とは何か?論理的思考や思考力の意味も合わせて解説」を参考にして欲しい。
まず最初に、基本的な思考の意味だけを抑えておこう。ちなみに完全な正解はない。アメリカ心理学会が発行しているAPA心理学大辞典でも「思考の意味はあいまい」と言っている。
ちなみに僕ならこう考える。
思考とは「問題の解決策やより良い結果を導き出す心の行為」という意味。
僕も専門家として、色んな本や辞書を見聞きしているので、ある程度この意味で的を得ていると思う。そんなわけで、この意味をベースに、思考や妄想の特徴を見ていこう。
思考の3つの特徴
ゴールがある
まず、一つ目の特徴だ。思考にはゴールがある。言いかえると、無限ループじゃないってことだ。
例えば、算数の問題をイメージして欲しい。
「125+243=?」
と聞かれて、あなたはどう答えるだろうか?
もし、「368」と答えたなら、あなたは思考したことになる。なぜなら、この問題のゴールは「368」だからだ。これ以上何にもない。完全に終わりだ。
人間関係にしてもそう。
「なぜ自分は人から好かれないのだろう?」という問題に対して、
「そうか!自分はこれまで自分の得になることしか考えていなかったからだ!」という答えを導き出したなら、それは思考したということだ。
ちなみに、算数のように、一つの問題に対して、一つの答えの場合もあるし、人間関係のように一つの問題に対して、たくさんの答えの場合もある。
でも、どっちにしてもゴールがあるという点では同じだ。
ポジティブな心理状態
思考という行為は実はとても楽しい。
暗闇が光に照らされるように、これまで見えなかったものが明らかになっていく喜びがある。
答えが見つかるということは、闇が消えて、知恵の光が表れたことの証だ。
余談だが、僕たちは明るいところに惹かれていくという習性があるらしい。だから、コンビニは一晩中明るくしているそうだ。
もし、コンビニがお化け屋敷のような暗い場所だったら、あなたはどう感じるだろう?
不安だとか、怖いとか思わないだろうか?
それは、まさしく僕たちが問題が解決されないときに感じるネガティブ感情と同じだ。問題が解決されないというのは暗闇にいるのと同じなのだ。
思考は暗闇を切り裂いて、ポジティブな心理状態を生んでくれる。
能動的
思考は能動的な行為だ。能動的というのは「自分から進んでやる」という意味だ。受け身じゃないという意味だ。
さっきの算数の問題をイメージしてもらえれば分かるが、放っておいて自然に「368」という答えは出てこない。
自分から解きに行かなければいけないわけだ。
何だってそうだ。問題の解決策を導き出すためには、自分から進んで意図的に頭を働かせる必要がある。
これで思考の3つの特徴が終わった。思考の意味の理解も大分深まったんじゃないだろうか?
さらに、ここで妄想の特徴も確認しておこう。思考の特徴と対比させることで、もっと思考の意味がはっきり分かるようになる。
妄想の3つの特徴
ゴールがない
思考の逆だ。典型的なのは「どうしよう」というキーワードだ。
- 将来ホームレスになったらどうしよう?
- 転職して失敗したらどうしよう?
- 初対面の人に嫌われたらどうしよう?
- ガンになったらどうしよう?
- 一生独身だったらどうしよう?
- 無くし物が見つからない、どうしよう?
「どうしよう」と100回言っても、1000回言っても何も解決しない。事態は現状維持だ。
思考する人は「どうしよう」とは思わない。「どうしたら●●できるだろうか?」と思うわけだ。
こんな風に。
- どうしたら将来ホームレスにならずに済むだろう?
- どうしたら転職で失敗しないだろうか?
- どうしたら初対面の人に好かれるだろう?
- どうしたらガンにならずにいられるだろう?
- どうしたら結婚できるだろう?
- どうしたら無くし物が見つかるだろう?
どうだろうか?全然質が違うのが分かってもらえたと思う。
「どうしたら●●できるだろうか?」というのは、答えを導き出す魔法の質問だ。
おっと、そんな話をしているうちに、たった今Tシャツにコーヒーをこぼしてしまった!
もうすぐ出かける時間だから、Tシャツを洗って乾かしている暇もない。
「どうしたらいいだろう?」
そう思考した結果、今着ているTシャツを洗濯機に放り込んで、新しいTシャツを着ていくことにした。
ネガティブな心理状態
妄想する人は、答えを導き出さずに、闇の中を徘徊しているようなものだ。
夜何のライトも持たずに一人闇の中を徘徊することをイメージして欲しい。とても、明るくて晴れやかなポジティブな心理状態は生まれないだろう。
詳しくは「ネガティブの本当の意味とポジティブの本当の意味」を参考にして欲しいが、ネガティブな心理状態の親玉は「無知」だ。
無知とは簡単に言うと、思考が働いていない状態だ。
そして、その無知の子分が2人いる。「欲望」と「怒り」だ。他のすべてのネガティブ感情は、この3つのリーダーの部下みたいなものだ。
例えば、焦りは無知の部下だし、嫉妬は怒りの部下だ。何でそういう分類になるかは、「ネガティブの本当の意味とポジティブの本当の意味」で解説している。
補足
妄想が必ずしもネガティブな心理状態に結びつくわけじゃない。
例えば、「人類が手を取り合って幸せを分かち合っている妄想」は、とてもポジティブな心理状態を作り出すだろう。
ただ、一般的には妄想は自分勝手なものであり、自分の都合だけが反映されたものだ。その場合は、たいていネガティブな心理状態に結びつくという意味でとらえて欲しい。
受動的
そして、妄想は受動的な行為だ。つまり努力しなくても勝手に生まれてくるものだ。
例えば、あなたは何も考えずに3分じっとしていることはできるだろうか?
もし、あなたが訓練していないとしたら、それはとても難しいはずだ。というのも、どうしても色んなイメージや思いが頭に浮かんできてしまうからだ。これが妄想なわけだ。
妄想は思考と違って方向性がなく、とりとめがない。
例えば、ある女性が、こう思ったとしよう。
「あーいつか白馬に乗った王子様が私を迎えに来ないかな~」
これは、妄想だ。この女性はきっと努力しなくても、自然とこう思ってしまうからだ。
でも、もしこの女性がもう一歩突っ込んで、
「白馬の王子さまはどこにいるんだろうか?まず、それを探すために世界中の王子さまについて調べないといけないな。その次に、そこに行くまでの日程を決めて、語学も勉強する必要があるな。」
とか思ったとしたら、これは思考だ。この思考にはゴールがあるからだ。
ちなみに「妄想しているとき楽しいから、心理状態はポジティブじゃないか?」と思っていないだろうか?
それは違う。
妄想の内容は非現実的なため、たいてい現実化しない。「明日雨降らないかな~」とか現実的な妄想もあるけど、たいてい妄想は何でもありなわけだ。
だから、どれだけ妄想に願いを込めても、ほぼそれは現実にならない。まるで幻を追うのに必死になっているようなものだ。
覚せい剤中毒者は、覚せい剤によって幸せを感じられると思っているから、やるわけだ。
ただ、正常なあなたには覚せい剤が人を結果的に幸せにするのか、不幸にするのかは分かるだろう。覚せい剤が一時の現実逃避であって、覚せい剤によって何も解決しないことは分かるだろう。
きっとあなたは「覚せい剤をやることはネガティブな行為ですか?ポジティブな行為ですか?」と聞かれたら、「ネガティブな行為です」と答えるんじゃないだろうか?
現実的な思考をする人にとって、妄想がちな人も、これと同じことなのだ。
まとめ
思考とは、問題の解決策を導き出す頭の行為という意味だ。思考には、次の特徴がある。
- ゴールがある
- ポジティブな心理状態
- 能動的
一方で、妄想はただ頭にとりとめもなく浮かんでくるもので、次のような特徴がある。
- ゴールがない
- ネガティブな心理状態
- 受動的
だから、思考と妄想は全く違う意味だ。この言葉の意味を理解して、上手に言葉を使い分けよう。
思考について、もっと学術的な意味を知りたいという場合は「思考とは何か?論理的思考や思考力の意味も合わせて解説」を参考にして欲しい。
私は公務員の両親の無意識虐待から逃げるように、若くして結婚。両親から勘当。そして離婚。なので学歴が有りません。学歴は無かったのですが容姿でモデルを初めました。其の頃に出会ったお金持ちの小父さんにパラサイトしたのですが、嫉妬と束縛が酷く先の見えないネガティヴな毎日から抜け出したいと思っていた時に、必然?に出遇った会社経営者の男性に求婚され又、逃げるように其の男性にパラサイトしました。しかし会社は破産。又、離婚。今迄豪華な生活をしていたのに、今はどん底です。極限の選択で勘当され嫌悪感しかない両親の元へ戻る事になりました。上手くいく筈が有りません。精神的に追い詰められ拒食症になり死ぬと言われ入院しました。嫌々入院したものの両親と顔を合わせる事も無いので入院は性格でした。3ヵ月程の入院生活で嘘の様に食事が出来る様になり体重も増えました。元気になったら退院です。本当に退院するのが嫌でした。帰ったら又、あの生活が待っている。どうしよう。と、私は何時もネガティヴな事ばかり考えて抜け出せない闇の奥にいます。此処で学習した思考を使っていない為にポジティブになれないのです。どうしようでは何も変わらない只の現状維持。維持したく無いのですが、仕事もなかなか出来ず部屋で引きこもってます。やっぱり出て来る言葉は、どうしよう。そしてこの先如何なるのだろうという不安。此の状況を変えるには先ず外へ出て働かなくてはと、奮起し、思考してみました。ですが、現在、仕事をするにしても原因不明の全身の痛みで、立ち仕事は無理。座って出来るお仕事なんてパソコンでも使えないと無いに等しい。という事はパソコンを把握しスキルを身につける為に講習を受けに行かなくては?ベンツも時計も売って通う足も無いので、今迄使用した事の無い公共交通機関に挑戦するしかないですが、何れにしてもコロナが収まればですね。其れから集中力の事迄全部読みました。面白く勉強になりました。多忙な中の貴重なお時間を少し頂きたく、何かアドバイス宜しくお願い致します。 実は無料のワークブックのダウンロードに躊躇しています。此れをダウンロードして何も悪い事等起こらないというエビデンスは有りますか?
高木さん
メッセージありがとうございます。
色々お聞きになりたいことがあるようですが・・・
まず、無料のワークブックのダウンロードについてですが、悪いことというのは例えばどのようなことでしょうか?
「迷惑メールが大量に来る」とかそういうことを懸念されているようでしたら、それは問題はありません。
取得したアドレスは私が全て責任を持って管理していますので、他にもれることはありません。
またワークブックは、ポジティブ思考訓練の一部をご紹介しているものです。ですので、「これだけやれば全部OK」わけでもありません。
特に、高木さんの場合、かなり問題の根が深そうな印象がします。そこで、考え方を変えたり整理するにあたって、日常のポジティブ訓練に加えて、カウンセリングも利用されてもいいかもしれませんね。
いずれにしましても、まずは問題の整理が必要と思います。
もし個別に支援を受けられたいということでしたら、お問い合わせから、その旨おっしゃって下さいね。
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