From:堀口寿人 金沢のオフィスより
今日はメンタルヘルスケアの一つセルフケアのお話し。
メンタルヘルスケアと言っても色々ある。代表的なのは、厚労省が提唱している4つのケアだ。たぶんそれ以外にも色々あると思うが。
セルフケアはその4つのうちの一つに位置付けられている。私個人的には、このセルフケアが一番大事だと思っている。というのも、究極的には、全ての働く人が、このセルフケアをしっかりやっていれば万事OKだからだ。
じゃあ、さっそく、そんな大事な大事なセルフケアについて意味を見ていこう。
1.セルフケアとは
セルフケアとは読んで字のごとくだ。セルフ=自分だから、セルフケアは「自分で自分をケア」するという意味になる。
じゃあ、「何をケアするのか?」ということだが、これは、メンタルヘルスの文脈で言うと、ストレスのケアが代表的だろう。
そもそもストレスという言葉も、かなり曲者で、色んな意味を含んでいるので注意が必要だ。また機会があれば別の記事でお話ししたいと思う。
職場では、人間関係だの、ハラスメントだの、仕事の質や量だの、労働時間だの、色んな問題が指摘される。
ただし、突き詰めると、そういった問題はすべて働く人たちのストレスという形で現れてくる。
だから、言い換えると、「一人一人のストレスをどうケアするか?」というのがセルフケアだと言っても過言じゃない。
じゃあ、具体的にセルフケアとはどんなことをするのか?
2.具体的なセルフケアの種類
これは、厚労省が出している「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」が参考になるだろう。これには大きく分けて、3つのセルフケアを紹介している。
2-1.ストレスやメンタルヘルスに関する理解
まず、ストレスやメンタルヘルスというものがどういうものかを知らないと対処しようがない。
例えば、「ストレスとはいったいどういうもので、どういう流れでストレスが発生し、どうすればそれを無くせるのか?」。そう言ったことはセルフケアには必須の知識だ。
またストレスを解決してメンタルヘルスの改善を目指すわけだが、「メンタルヘルスが改善されるとはどんな状態なのか?」もよく理解しておく必要がある。
これらを理解しないことは、地図もナビもなく思い付きで旅に出るようなものだ。
2-2.ストレスへの気づき
次のステップは自分のストレスに気づくことだ。
これは旅にたとえると、自分の現在地を知ることに当てはまる。いくら地図を持っていても、自分の現在地が分からないとどのようにゴールに向かえばいいのか分からない。
自分のストレスに気づくには一般にストレスチェックなどのツールを使う。もちろん、ストレスチェックについてはあなたもご存知のように、賛否両論色々ある。
- こんなもので本当にストレスが分かるのか?
- 例えストレス度を測ったとしても、その時だけのものじゃないのか?
こういう声はよく聞く。ハッキリ言うが、実際に私自身もその声に賛成だ。
でも裏を返せば、「やらないよりはマシ」という考え方もできる。
理想を言えば、人の無意識状態まで精密に測定できる器具ができれば最高だろう。でも、おそらくそれは何十年たとうが、何百年たとうができないだろう。それほどに、心の仕組みは複雑で繊細でとらえ難いからだ。
だから、今できることと言えば、ストレスチェックに回答してもらうのが精いっぱいなのだ。
そんな、心もとない情報であっても、ないよりはマシだし、せっかく情報が手に入ったら、それを活かさない手はない。
そういうわけで、ストレスチェックを使って自分のストレスに気づくのは意味のある一歩になる。
2-3.ストレスへの対処
地図も手に入れた。現在地も分かった。じゃあ、後はゴールに向けて進むだけだ。それがストレスへの対処のステップだ。
ゴールと言うのはもちろん健康なメンタルヘルスだ。
ストレスへの対処法も実はたくさんある。というのも、ストレスと言うのはドミノのように因果関係が複雑に入り混じっている。
例えば、部下との関係がストレスになったとしよう。そうして部下に対して怒りの感情が出たとする。その怒りの感情自体がまたストレスになって、さらに怒りの感情を増幅させるというようなことがよく起こる。
そうやって、結果が次の原因となって、また次の結果を生んでと言うように、負のスパイラルがぐるぐるまわっていくわけだ。
ストレスに対処するというのは、その負のスパイラルを断ち切ることを意味する。
ただし、負のスパイラルは連続体なので、どのタイミングで断ち切るかによって、色んな方法があるというわけだ。一例を挙げるとこんな感じだ。これ以外にもまだまだある。
- リラックス法を実践
- 考え方を変える訓練
- ストレス耐性を高める訓練
- 気晴らし
- 運動
3.セルフケアの対象者
さて一般に、メンタルヘルスの文脈でセルフケアと言うと、「一般社員向け」という風にとらえられがちだ。
でも、よく考えて欲しい。ストレスを感じているのは一般社員だけだろうか?
当然違う。管理職はもっと感じているかもしれないし、経営者はまた別のタイプのストレスを感じているだろう。
もっと言うと、役職が高くなるほど影響力も大きくなる。影響力が大きくなるということは、その影響力を下手に使うと、組織全体のストレスを増幅させてしまうことになるということだ。
つまり、もしあなたが経営者や管理職だったとしたら、あなたがストレスの元凶になってしまうということなのだ。
それは絶対に避けたい。そのためには、あなた自身のメンタルが健康でなければならない。
つまり何が言いたいかというと、私個人的には、管理職や経営者ほど率先してセルフケアを実行すべきだと考えている。
まさに山本五十六のこの言葉で締めくくりたい。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
山本五十六