中小企業のためのティール組織完全ガイド1:ティール組織の全体像から3つの柱まで徹底解説

ティール組織。

これは、従来の階層型組織とは全く異なる、新しい組織のあり方です。社員が自主的に動き、個性を存分に発揮し、組織の目的さえも進化させていく。そんな革新的な組織モデルです。

本記事では、このティール組織について詳しく解説していきます。

組織進化の5段階、ティール組織を支える3本柱、そしてティール組織化で得られる5つのメリット。これらを順を追って説明していきます。

最後には、中小企業がティール組織化するための具体的なステップも紹介します。

この記事を読んで実践すれば、あなたの会社も一歩ずつティール組織に近づいていけるはずです。さあ、新しい組織のあり方を一緒に探っていきましょう。

1. ティール組織とは

ティール組織とは、簡単に言えば「社員が主役の次世代型組織」のことです。従来の上意下達型の組織構造を根本から覆す、革新的な概念なんです。

でも、なぜ今ティール組織が注目されているのでしょうか?

その理由は、私たちを取り巻く環境の急激な変化にあります。

AIやIoTの発展、グローバル化の加速、そして予測不可能な市場の変動。こういった激動の時代に、古い組織モデルではもはや太刀打ちできなくなってきているんです。

では、あなたの会社は今どんな状態でしょうか?
社員が生き生きと働いていますか?
新しいアイデアがどんどん生まれていますか?

もし「いいえ」と答えたなら、ティール組織への転換を真剣に考えてみる価値があるかもしれません。

では、ティール組織と従来型の組織でどんなところが違うのでしょうか?

次章では、組織の進化段階について詳しく見ていきます。

あなたの会社が今どの段階にいるのか、そしてティール組織に向けて何をすべきかが、きっと見えてくるはずです。

2. 組織進化の5段階

組織にも進化の段階があるって知っていましたか?そう、人間社会と同じように、組織も時代とともに進化してきたんです。

この章では、フレデリック・ラルーが提唱した「組織進化の5段階」について詳しく見ていきましょう。

各段階には色が割り当てられています。レッド、アンバー、オレンジ、グリーン、そしてティール。この色分けは、組織の特徴を分かりやすく表現しているんです。

では、順番に見ていきましょう。

2-1. レッド

レッド組織、聞いただけでなんだか激しそうな感じがしませんか?

その通りなんです。レッド組織の特徴は「力による支配」。まるで原始時代の部族のような組織形態です。

例えば、こんな感じです。強いボスが絶対的な権力を持ち、部下は恐怖心から従う。ルールなんてあってないようなもの。今日の友が明日の敵になるかもしれない。聞いただけでゾッとしますよね。

でも、実はこの組織形態、今でも存在するんです。例えば、犯罪組織やギャングなどがこれに当たります。

「えっ?そんな組織、経営には関係ないじゃないか」って思いました?実は、一部の中小企業でも、このレッド的な要素が残っていることがあるんです。

例えば、ワンマン社長が全ての決定権を握り、社員の意見を一切聞かないような会社。または、パワハラが横行し、社員が常に恐怖心を抱いているような職場。こういった状況は、まさにレッド組織の特徴なんです。

レッド組織の問題点は明らかです。社員のモチベーションは低く、創造性も発揮されません。長期的な戦略を立てることも難しいでしょう。

もし、あなたの会社にレッド的な要素があるとしたら、今すぐに改善が必要です。なぜなら、この先の段階に進化しない限り、会社の成長は望めないからです。

2-2. アンバー

アンバー組織の特徴は「安定と秩序」です。

レッド組織の混沌とした状態から一歩進化し、ルールや階層構造が導入されます。軍隊や伝統的な教会組織がその典型例です。

アンバー組織では、明確な指揮系統があり、それぞれの役割が決められています。「これは私の仕事」「これはあなたの仕事」というように、責任範囲がはっきりしているんです。

一見、理想的に見えるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。この組織にも大きな問題があるんです。

例えば、こんな状況を想像してみてください。「これは私の担当外です」「前例がないのでできません」なんて言葉、職場でよく聞きませんか?これは、まさにアンバー組織の特徴なんです。

アンバー組織の最大の問題点は、変化に弱いということ。ルールや慣習を重視するあまり、新しいアイデアや変革が生まれにくいんです。

日本の多くの中小企業が、このアンバー組織の特徴を持っています。「うちは昔からこうやってきた」「前例を踏襲するのが一番」なんて考え方、心当たりはありませんか?

しかし、変化の激しい現代では、このアンバー的な組織運営では立ち行かなくなってきています。顧客のニーズや市場環境が急速に変化する中、柔軟な対応ができないからです。

アンバー組織からの脱却は、多くの日本企業にとって大きな課題となっています。次の段階に進化するためには、「前例踏襲」の考え方を捨て、新しいアイデアを積極的に取り入れる姿勢が必要不可欠です。

さて、ここまでレッドとアンバーについて見てきました。あなたの会社はどうでしょうか?もしかしたら、「うちの会社、ちょっとアンバーっぽいな」なんて思った方もいるかもしれません。

でも、大丈夫です。組織は進化できるんです。次に紹介するオレンジ組織は、現代の多くの企業が目指す姿。そして、その先にはさらに進化した形態が待っています。

2-3. オレンジ

オレンジ組織の特徴は、「目標達成」と「イノベーション」を重視することです。多くの現代企業がこの形態を取っています。

例えば、こんな感じです。明確な目標を設定し、その達成に向けて社員が競争する。新しいアイデアや技術を積極的に取り入れ、市場のリーダーを目指す。聞いただけでワクワクしませんか?

実際、多くのグローバル企業がこのオレンジ組織の特徴を持っています。例えば、AppleやGoogleなどのIT企業。彼らは常に新しい製品やサービスを生み出し、市場を牽引していますよね。

オレンジ組織の大きな特徴は、「実力主義」です。能力のある人がどんどん昇進し、組織を引っ張っていく。「年功序列」なんて言葉は通用しません。

また、オレンジ組織では「イノベーション」が重要視されます。「前例がない」なんて言葉は禁句。むしろ、前例のないことにチャレンジすることが評価されるんです。

しかし、オレンジ組織にも課題があります。それは「人間性の軽視」です。

例えば、こんな状況を想像してみてください。

  • 目標達成のためなら手段を選ばない。
  • 社員を使い捨ての駒のように扱う。

環境破壊や社会問題には目をつぶる。こういった問題が、オレンジ組織では起こりがちなんです。

リーマンショックの原因となった金融機関の行動も、極端なオレンジ組織の例と言えるでしょう。短期的な利益追求が、結果的に大きな社会問題を引き起こしたんです。

では、オレンジ組織の次は何でしょうか?そう、人間性を重視し、社会的責任を果たそうとする組織。それが次に紹介する「グリーン組織」です。

2-4. グリーン

グリーン組織では、人間関係や組織の文化が重視されます。「社員は家族」「顧客満足度が最優先」といった価値観が大切にされるんです。

例えば、こんな会社を想像してみてください。社員の意見をしっかり聞く。チームワークを重視する。顧客や地域社会との関係を大切にする。なんだか理想的な会社に聞こえませんか?

実際、多くの優良企業がこのグリーン組織の特徴を持っています。例えば、アメリカの衣料品会社「パタゴニア」。彼らは環境保護に力を入れ、「地球に優しい」という価値観を全面に押し出しています。

グリーン組織の大きな特徴は、「ボトムアップ」の意思決定です。現場の声を大切にし、トップダウンではなく、みんなで話し合って決めていく。そうすることで、社員のモチベーションも上がるんです。

また、グリーン組織では「多様性」が重視されます。性別や年齢、国籍に関係なく、様々な背景を持つ人々が活躍できる環境を作ります。

しかし、グリーン組織にも課題があります。それは「意思決定の遅さ」です。

例えば、こんな状況を想像してみてください。新しい提案があっても、全員の合意を得るのに時間がかかる。

みんなの意見を聞こうとするあまり、決断が遅れる。こういった問題が、グリーン組織では起こりがちなんです。

特に、急速に変化する現代のビジネス環境では、この「意思決定の遅さ」が致命的になることもあります。

では、グリーン組織の次は何でしょうか?そう、グリーン組織の「人間性重視」という良さを保ちつつ、より柔軟で効率的な組織。それが最後に紹介する「ティール組織」です。

2-5. ティール

ティール組織は、これまで見てきた全ての組織の良いところを取り入れつつ、さらに進化した形態です。その特徴は「自主経営」「全体性」「進化する目的」の3つ。

ティール組織の大きな特徴は、「自己組織化」です。階層構造や固定的な役割分担がなく、状況に応じて柔軟にチームを組んで仕事を進めます。

また、ティール組織では「内的な動機付け」が重要です。外からの評価や報酬ではなく、仕事そのものにやりがいを感じて働く。そうすることで、驚くほどの創造性と生産性が発揮されるんです。

例えば、オランダの在宅介護組織「Buurtzorg」を見てみましょう。ここでは、看護師たちが自己組織化したチームで働いています。

各チームが自主的に意思決定を行い、患者のニーズに柔軟に対応しています。その結果、患者満足度が高まり、コストも削減できたんです。

しかし、ティール組織への移行には課題もあります。例えば、従来の階層型組織に慣れた社員が、急に自主的に行動することを求められても戸惑うかもしれません。

また、全員が自主的に動くことで、組織全体としての一貫性が失われる可能性もあります。

でも、心配しないでください。これらの課題は、組織全体で「ティール」の考え方を理解し、少しずつ実践していくことで解決できるんです。

さて、ここまで組織進化の5段階を見てきました。あなたの会社は今どの段階でしょうか?そして、どの段階を目指したいでしょうか?

次の章では、ティール組織を支える3本柱について詳しく見ていきます。これを理解することで、ティール組織への道筋がより具体的に見えてくるはずです。

3. ティール組織を支える3本柱

さて、ここからが本題です。ティール組織を実現するための3つの重要な要素について、詳しく見ていきましょう。これらは「自主経営」「全体性」「進化する目的」と呼ばれています。一見、抽象的に聞こえるかもしれません。でも、実はこれらが、ティール組織の根幹を成す重要な概念なんです。

3-1. 自主経営

まず最初は「自主経営」です。聞いただけで、なんだかワクワクしませんか?

自主経営とは、簡単に言えば「社員が自分で考え、決断し、行動する」ということ。上司の指示を待つのではなく、自分で判断して仕事を進めるんです。

例えば、こんな感じです。新しい商品のアイデアが浮かんだとします。従来の組織なら、上司に相談し、承認を得て…と手続きを踏むでしょう。

でも、自主経営の組織では違います。「これはいいアイデアだ!」と思ったら、すぐに行動に移せるんです。

「えっ、それって混乱しないの?」って思いましたか?

確かに、最初は戸惑うかもしれません。でも、実はこの方が効率的なんです。なぜなら、現場で働く人が一番状況を理解しているからです。

彼らの判断の方が、遠くから眺めている上司の判断よりも的確なことが多いんです。

実際、自主経営を導入している企業では、驚くほどの成果が出ています。例えば、アメリカの靴小売業「Zappos」。

ここでは、顧客対応をする社員に大幅な裁量権を与えています。その結果、顧客満足度が飛躍的に向上し、売上も急増したんです。

自主経営のポイントは、「信頼」です。経営者が社員を信頼し、社員も自分自身を信頼する。そうすることで、個人の能力が最大限に発揮されるんです。

ただし、自主経営には注意点もあります。例えば、責任の所在が不明確になる可能性があります。また、個人の判断に頼りすぎて、組織全体の方向性がブレてしまうこともあります。

これらの問題を解決するには、明確な指針と透明性の高い情報共有が必要です。「何のために」「どのような価値観に基づいて」判断するのか、組織全体で共有することが重要なんです。

自主経営は、従来の組織からすると大きな変革に見えるかもしれません。でも、一歩ずつ進めていけば、必ず実現できます。そして、その先には社員が生き生きと働く、創造性あふれる組織が待っているんです。

さあ、次は「全体性」について見ていきましょう。これも、ティール組織を実現する上で欠かせない要素なんです。

3-2. 全体性

次は「全体性」です。これ、ちょっと分かりにくい言葉かもしれませんね。でも、実はとてもシンプルな考え方なんです。

全体性とは、簡単に言えば「人間丸ごと受け入れる」ということ。仕事の顔とプライベートの顔を使い分けるのではなく、その人のありのままを受け入れる。そして、その人の全てを仕事に活かすんです。

例えば、こんな状況を想像してみてください。あなたは趣味で料理が得意です。でも、普通の会社なら「それが仕事に関係あるの?」って言われそうですよね。

でも、全体性を重視する組織では違います。「それって素晴らしい才能じゃない?社員食堂のメニュー開発に活かせないかな?」なんて声がかかるかもしれません。

「えっ、そんなの現実的じゃないでしょ」って思いましたか?

でも、実はこれが現実なんです。全体性を重視する組織では、人間の多様な側面を積極的に活用します。

なぜなら、人間は仕事だけの存在ではないからです。趣味や特技、価値観など、その人の全てが仕事に活かせる可能性を秘めているんです。

実際、全体性を導入している企業では、驚くような成果が出ています。例えば、ブラジルの製造業「Semco」。

ここでは、社員の多様な才能を活かすため、定期的に職種をローテーションさせています。その結果、新しいアイデアが次々と生まれ、イノベーションが加速したんです。

全体性のポイントは、「自由」と「尊重」です。社員が自分らしさを自由に表現できる。そして、その個性が尊重される。そうすることで、個人の潜在能力が最大限に引き出されるんです。

ただし、全体性にも課題があります。例えば、プライベートと仕事の境界線が曖昧になる可能性があります。また、個性を重視するあまり、組織としての一体感が失われる恐れもあります。

これらの問題を解決するには、「相互理解」と「共感」が鍵となります。お互いの個性を理解し、尊重し合う。そして、組織の目的や価値観を共有する。そうすることで、多様性と一体感の両立が可能になるんです。

全体性は、従来の「仕事は仕事」という考え方からすると、大きな転換に見えるかもしれません。でも、一歩ずつ進めていけば、必ず実現できます。そして、その先には社員一人一人が輝く、創造性豊かな組織が待っているんです。

さあ、最後は「進化する目的」について見ていきましょう。これこそが、ティール組織の真髄とも言える要素なんです。

3-3. 進化する目的

最後は「進化する目的」です。これ、ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんね。でも、実はとてもワクワクする考え方なんです。

進化する目的とは、簡単に言えば「組織の目的が固定されていない」ということ。環境の変化に応じて、組織の目的そのものが変化していくんです。

例えば、こんな状況を想像してみてください。

あなたの会社は、最初は「利益を上げること」が目的でした。でも、ある日、社員から「環境問題に取り組みたい」という声が上がります。

普通の会社なら「それは我々の目的とは違う」と却下されそうですよね?

でも、進化する目的を持つ組織では違います。「それって素晴らしいアイデアじゃない?我々の新しい目的になるかもしれないね」なんて反応があるかもしれません。

「えっ、そんなの経営が成り立たないでしょ」って思いましたか?

でも、実はこれが現実なんです。進化する目的を持つ組織では、社会の変化や社員の想いに応じて、組織の目的そのものが変化していきます。

なぜなら、固定的な目的では、急速に変化する現代社会に適応できないからです。

実際、進化する目的を導入している企業では、驚くような成果が出ています。

例えば、オランダの在宅介護サービス企業「Buurtzorg」。

ここでは、「患者のQOLを向上させる」という目的のもと、従来の介護サービスの枠を超えた取り組みを次々と行っています。その結果、患者満足度が飛躍的に向上し、コストも削減できたんです。

進化する目的のポイントは、「柔軟性」と「共感」です。環境の変化に柔軟に対応できる。そして、社員や顧客の想いに共感できる。そうすることで、組織が社会に真に貢献できる存在になるんです。

ただし、進化する目的にも課題があります。例えば、目的が頻繁に変わることで、組織の一貫性が失われる可能性があります。また、目的が曖昧になることで、社員のモチベーションが低下する恐れもあります。

これらの問題を解決するには、「対話」と「透明性」が鍵となります。組織の目的について、常に対話を重ねる。そして、その過程を透明化する。そうすることで、目的の変化に全員が納得し、ついていけるようになるんです。

進化する目的は、従来の「不変の企業理念」という考え方からすると、大きな転換に見えるかもしれません。

でも、一歩ずつ進めていけば、必ず実現できます。そして、その先には社会と共に成長する、真に価値ある組織が待っているんです。

さて、ここまでティール組織を支える3本柱について見てきました。「自主経営」「全体性」「進化する目的」。これらは、一見すると理想論のように聞こえるかもしれません。でも、実際に多くの企業がこれらを実践し、驚くべき成果を上げているんです。

次の章では、ティール組織化で得られる具体的なメリットについて見ていきます。

これを理解することで、ティール組織への移行がいかに価値あるものかが、より明確になるはずです。

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