初めてでも分かる人材開発支援助成金の使い方完全ガイド

人材開発支援助成金

厚労省のサイトも確認しましたが。はっきり言って、

  • あまりに分かりにくい。
  • 情報が雑然としていて整理されていない。
  • いったいいくつあるの?

という疑問のオンパレード。

そんなわけで、人材開発支援助成金について、わかりやすく情報をまとめてみました。

第1章 人材開発支援助成金とは?

人材開発支援助成金とは、企業が従業員のスキル向上やキャリア開発を目的とした訓練や教育を実施する際に、国から支給される助成金です。

具体的には、従業員が専門知識や技能を習得するための訓練にかかる費用の一部を助成します。

第2章 人材育成支援コース

コースの概要

人材育成支援コースは、企業が従業員の職業能力を向上させるための訓練を行った際に、その費用の一部を補助する制度です。

この制度は、企業が従業員に対して専門的な知識や技能を習得させるための訓練を提供し、労働者のスキルアップと企業の生産性向上を目指しています。

具体的には、職場外訓練(OFFJT)や職場内訓練(OJT)を含む様々な訓練が対象となります。

支給要件

1.対象事業主:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定していること。
  • 過去6ヶ月以内に事業主都合による解雇等がないこと。

2.対象労働者:

  • 訓練を受ける労働者が雇用保険被保険者であること。

3.対象訓練:

  • 10時間以上の職務に関連する訓練であること。
  • OFFJT、OJTまたはその組み合わせであること。

例えば、こんな訓練が対象になります。

  1. ITスキルの向上: プログラミングやシステム管理の訓練。
  2. マーケティング: デジタルマーケティングやSEOの研修。
  3. 製造技術: 新しい製造機械の操作方法やメンテナンスの訓練。
  4. 安全管理: 労働安全衛生に関する研修。
  5. リーダーシップ: 管理職向けのリーダーシップトレーニング。

助成額・助成率

次の三つの助成を受けれます。

1.賃金助成:

中小企業の場合、訓練期間中の賃金を1時間あたり760円(通常)、960円(特定の条件を満たす場合)助成。

大企業の場合、訓練期間中の賃金を1時間あたり380円(通常)、480円(特定の条件を満たす場合)助成。

例えば、中小企業で1人に対し、100時間の訓練を行った場合、1人あたり76,000円(通常)の賃金助成がされます。

2.経費助成:

訓練にかかる費用の一部を助成。中小企業の場合は45%、大企業の場合は30%。

特定の条件を満たす場合(非正規雇用者への訓練実施や正社員化など)は、助成率が最大で75%(中小企業)や60%(大企業)まで引き上げられる。

例えば、中小企業で100万円の訓練費用がかかった場合、45万円、特定条件を満たす場合は75万円のが助成がされます。

3.OJT実施助成:

OJTを実施した場合、1人あたり10万円~25万円の助成。

例えば、OJTで1人あたり20万円の助成金が支給される場合、5人実施すると合計で100万円の助成金が受けられます。

申請の流れ

1.職業能力開発推進者の選任と計画策定:

企業内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知します。

職業能力開発推進者は、研修や訓練の計画・実施を担当する者で、通常は人事部門の責任者などが選任されます。

2.訓練計画の提出:

訓練開始日の1ヶ月前までに、訓練計画を都道府県労働局に提出します。訓練計画には、訓練の内容、期間、対象者、訓練場所、訓練の目的などを書きます。

3.訓練の実施:

訓練計画に従って、訓練を実施します。訓練期間中は、訓練を受ける労働者に対して適正な賃金を支払います。

4.支給申請書の提出:

訓練終了後、2ヶ月以内に支給申請書を提出します。申請書には、訓練の実施状況、参加者の出席簿、支払った賃金の明細などを添付します。

5.助成金の支給:

労働局が申請内容を審査し、助成金が支給されます。審査には一定の時間がかかるため、早めに申請手続きを進めることが推奨されます。

第3章 教育訓練休暇等付与コース

コースの概要

教育訓練休暇等付与コースは、企業が従業員に対して有給の教育訓練休暇を与える制度を導入し、実際に従業員がその休暇を取得して教育訓練を受けた場合に、企業に対して助成金を支給する制度です。

この制度は、従業員の自発的な学びを支援し、職業能力の向上を促進することを目的としています。

支給要件

1.対象事業主:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 職業能力開発推進者を選任していること。
  • 事業内職業能力開発計画を策定し、労働者に周知していること。
  • 過去6ヶ月以内に事業主都合による解雇等がないこと。

2.対象労働者:

教育訓練休暇を取得する労働者が雇用保険被保険者であること。

3.対象制度:

有給の教育訓練休暇制度を導入し、労働者がその休暇を取得して教育訓練を受けた場合。例えば、こういう訓練が該当します。

  1. 語学留学: 海外での語学学校通学。
  2. 専門資格取得: 公認会計士や中小企業診断士などの資格取得のための通学。
  3. IT技術向上: プログラミングやシステム管理のスクール通学。
  4. ビジネスマネジメント: MBA取得のための大学院通学。
  5. 医療技術向上: 看護師や医療技術者のための専門学校通学。

助成額・助成率

1.教育訓練休暇制度:

制度導入に対して30万円を支給。

制度導入のための書類作成や就業規則の改定にかかる費用を含む。

2.長期教育訓練休暇制度:

制度導入に対して20万円を支給。

有給の休暇に対して、1人につき1時間あたり960円(大企業の場合は760円)を助成。

例えば、中小企業において、長期教育訓練休暇を導入し、1人の従業員が240時間の休暇を取得した場合、960円×240円=230,400円が助成されます。

3.教育訓練短時間勤務等制度:

制度導入に対して20万円を支給(短時間勤務制度を導入し、従業員が30回以上の勤務時間短縮を利用した場合)。

申請の流れ

1.職業能力開発推進者の選任と計画策定:

企業内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知します。

職業能力開発推進者は、研修や訓練の計画・実施を担当する者で、通常は人事部門の責任者などが選任されます。

2.制度導入計画の提出:

制度導入の計画を都道府県労働局に提出します。

計画には、導入する制度の内容、目的、対象者、実施期間などを記載します。

3.制度の導入と周知:

制度を就業規則または労働協約に明記し、労働者に周知します。

労働者に対して、制度の内容や利用方法を説明します。

4.制度の適用:

実際に労働者が教育訓練休暇を取得し、訓練を受けます。

労働者が休暇を取得した際の記録を適正に管理します。

5.支給申請書の提出:

制度適用後、支給申請書を提出します。

申請書には、制度の導入状況、労働者の休暇取得記録、支払った賃金の明細などを添付します。

6.助成金の支給:

労働局が申請内容を審査し、助成金が支給されます。

審査には一定の時間がかかるため、早めに申請手続きを進めることが推奨されます。

第4章 人への投資促進コース

コースの概要

人への投資促進コースは、企業が従業員に対して新たな知識や技能を習得させるための訓練を実施する場合、その費用の一部を助成する制度です。

このコースは、特にデジタル技術や成長分野に関連する高度な人材育成、IT未経験者のための訓練、定額制の訓練、長期教育訓練休暇制度などを対象としています。

支給要件

1.対象事業主:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定し、労働者に周知していること。
  • 過去6ヶ月以内に事業主都合による解雇等がないこと。

2.対象労働者:

  • 訓練を受ける労働者が雇用保険被保険者であること。

3.対象訓練:

  • デジタル技術や成長分野に関連する訓練、IT未経験者の訓練、定額制訓練、長期教育訓練休暇制度などが含まれること。
  • 訓練時間数が10時間以上であること。

例えば、こんな訓練が対象です。

  1. デジタルトランスフォーメーション: ITスキルの向上訓練。
  2. 成長分野の専門知識: 新エネルギー技術の研修。
  3. 未経験者のIT技術訓練: IT未経験者のためのプログラミング訓練。
  4. サブスクリプション型研修: 定額制で受講できるオンライン講座。
  5. 長期教育訓練休暇: 大学院での高度な専門知識習得。

助成額・助成率

1.高度デジタル人材訓練:

経費助成率:中小企業75%、大企業60%

賃金助成額:1時間あたり960円(大企業の場合480円)

例えば、中小企業で200時間の高度デジタル人材訓練を行い、それに経費が50万円かかった場合、37.5万円が助成されます。賃金助成額は192,000円(1人あたり)。

2.成長分野等人材訓練:

経費助成率:75%

賃金助成額:1時間あたり960円

例えば、100時間の成長分野等人材訓練を行った場合、訓練費用が30万円かかった場合、22.5万円が助成されます。賃金助成額は96,000円(1人あたり)。

3.情報技術分野認定実習併用職業訓練:

経費助成率:中小企業60%(大企業45%)

賃金助成額:1時間あたり760円(大企業の場合380円)

OJT実施助成額:1人あたり20万円~25万円

例えば、中小企業で80時間のIT訓練を実施し、費用が20万円かかった場合、12万円が助成されます。賃金助成額は60,800円(1人あたり)。

4.定額制訓練:

経費助成率:中小企業60%(大企業45%)

例えば、年間50万円の定額制訓練サービスを利用した場合、中小企業なら30万円が助成されます。

5.自発的職業能力開発訓練:

経費助成率:中小企業45%(大企業30%)

例えば、自発的に20万円の訓練を受けた場合、中小企業なら9万円が助成されます。

6.長期教育訓練休暇等制度:

制度導入経費:20万円

賃金助成額:1時間あたり960円(大企業の場合760円)

例えば、30日間の長期教育訓練休暇を導入し、1人の従業員が240時間の休暇を取得した場合、合計で230,400円(中小企業)が助成されます。

申請の流れ

1.職業能力開発推進者の選任と計画策定:

企業内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知します。

職業能力開発推進者は、研修や訓練の計画・実施を担当する者で、通常は人事部門の責任者などが選任されます。

2.訓練計画の提出:

訓練開始日の1ヶ月前までに、訓練計画を都道府県労働局に提出します。

訓練計画には、訓練の内容、期間、対象者、訓練場所、訓練の目的などを記載します。

3.訓練の実施:

訓練計画に従って、訓練を実施します。訓練期間中は、訓練を受ける労働者に対して適正な賃金を支払います。

4.支給申請書の提出:

訓練終了後、2ヶ月以内に支給申請書を提出します。

申請書には、訓練の実施状況、参加者の出席簿、支払った賃金の明細などを添付します。

5.助成金の支給:

労働局が申請内容を審査し、助成金が支給されます。

審査には一定の時間がかかるため、早めに申請手続きを進めることが推奨されます。

第5章 事業展開等リスキリング支援コース

コースの概要

事業展開等リスキリング支援コースは、企業が新しい事業を立ち上げたり、既存の事業を新しい方向に展開したりする際に、必要となる新しい知識や技能を従業員に習得させるための訓練を実施する場合、その費用の一部を助成する制度です。

この助成金は、特にデジタルトランスフォメション(DX)やグリン・カボンニュトラル化(GX)に関連する訓練も対象としています。

支給要件

1.対象事業主:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 職業能力開発推進者を選任していること。
  • 事業内職業能力開発計画を策定し、労働者に周知していること。
  • 過去6ヶ月以内に事業主都合による解雇等がないこと。

2.対象労働者:

  • 訓練を受ける労働者が雇用保険被保険者であること。

3.対象訓練:

  • OFFJT(職場外訓練)で実施される訓練であること。
  • 訓練時間数が10時間以上であること。

事業展開またはDXやGXに関連する新しい知識や技能を習得するための訓練であること。例えば、以下のような訓練です。

  1. 新製品の製造技術訓練: 新しい製品ラインの立ち上げに必要な技術の習得。
  2. ITスキルの向上: デジタルトランスフォーメーションに向けたプログラミングやシステム管理の訓練。
  3. エコ技術の習得: グリーン・カーボンニュートラル化に向けたエコ技術の習得。
  4. 新サービスの提供方法: サービス業での新しい接客方法やマーケティング技術の習得。
  5. ドローン技術訓練: 建設業や測量業におけるドローン操作技術の訓練。

助成額・助成率

1.賃金助成:

中小企業の場合、訓練期間中の賃金を1時間あたり960円、特定の条件を満たす場合は1時間あたり480円助成。

大企業の場合、訓練期間中の賃金を1時間あたり480円、特定の条件を満たす場合は1時間あたり240円助成。

例えば、中小企業で200時間の訓練を行った場合、1人あたり192,000円(通常)または96,000円(特定条件)が助成されます 。

2.経費助成:

訓練にかかる費用の75%を助成(中小企業)、60%を助成(大企業)。

特定の条件を満たす場合、最大で90%(中小企業)、80%(大企業)まで引き上げられる。

例えば100万円の訓練費用がかかった場合、中小企業なら75万円、特定条件を満たす場合は90万円が助成されます。

申請の流れ

1.職業能力開発推進者の選任と計画策定:

企業内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知します。

職業能力開発推進者は、研修や訓練の計画・実施を担当する者で、通常は人事部門の責任者などが選任されます

2.訓練計画の提出:

訓練開始日の1ヶ月前までに、訓練計画を都道府県労働局に提出します。

訓練計画には、訓練の内容、期間、対象者、訓練場所、訓練の目的などを記載します

3.訓練の実施:

訓練計画に従って、訓練を実施します。

訓練期間中は、訓練を受ける労働者に対して適正な賃金を支払います。

4.支給申請書の提出:

訓練終了後、2ヶ月以内に支給申請書を提出します。

申請書には、訓練の実施状況、参加者の出席簿、支払った賃金の明細などを添付します

5.助成金の支給:

労働局が申請内容を審査し、助成金が支給されます。

審査には一定の時間がかかるため、早めに申請手続きを進めることが推奨されます

第6章 建設労働者認定訓練コース

コースの概要

建設労働者認定訓練コースは、建設業に従事する労働者が、建設現場で必要となる技能や知識を習得するための訓練を受けた場合、その費用を助成する制度です。

建設業界のニズに合わせた専門的な訓練が対象となります。

支給要件

1.対象事業主:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 職業能力開発推進者を選任していること。
  • 事業内職業能力開発計画を策定し、労働者に周知していること。
  • 過去6ヶ月以内に事業主都合による解雇等がないこと。

2.対象労働者:

訓練を受ける労働者が雇用保険被保険者であること。

3.対象訓練:

  • 建設業に関連する技能や知識の訓練であること。
  • OFFJTで実施される訓練であること。
  • 訓練時間数が10時間以上であること。

助成額・助成率

1.賃金助成:

中小企業の場合、訓練期間中の賃金を1時間あたり760円、特定の条件を満たす場合は1時間あたり960円助成。

大企業の場合、訓練期間中の賃金を1時間あたり380円、特定の条件を満たす場合は1時間あたり480円助成。

2.経費助成:

訓練にかかる費用の一部を助成。中小企業の場合は45%、大企業の場合は30%。

特定の条件を満たす場合、助成率が最大で75%(中小企業)や60%(大企業)まで引き上げられる。

申請の流れ

1.職業能力開発推進者の選任と計画策定:

企業内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知します。

2.訓練計画の提出:

訓練開始日の1ヶ月前までに、訓練計画を都道府県労働局に提出します。

3.訓練の実施:

訓練計画に従って、訓練を実施し、訓練期間中の賃金を適正に支払います。

4.支給申請書の提出:

訓練終了後、2ヶ月以内に支給申請書を提出します。

5.助成金の支給:

労働局が申請内容を審査し、助成金が支給されます。

第7章 建設労働者技能実習コース

コースの概要

建設労働者技能実習コースは、建設業に従事する労働者が現場で必要となる高度な技能を習得するための実習を受けた場合、その費用の一部を助成する制度です。

実習を通じて、労働者が実践的な技術を身につけることを支援します。

支給要件

1.対象事業主:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること。
  • 職業能力開発推進者を選任していること。
  • 事業内職業能力開発計画を策定し、労働者に周知していること。
  • 過去6ヶ月以内に事業主都合による解雇等がないこと。

2.対象労働者:

実習を受ける労働者が雇用保険被保険者であること。

3.対象実習:

  • 建設業に関連する高度な技能の実習であること。
  • OJTまたはOFFJTで実施される実習であること。
  • 実習時間数が10時間以上であること。

助成額・助成率

1.賃金助成:

中小企業の場合、実習期間中の賃金を1時間あたり760円、特定の条件を満たす場合は1時間あたり960円助成。

大企業の場合、実習期間中の賃金を1時間あたり380円、特定の条件を満たす場合は1時間あたり480円助成。

2.経費助成:

実習にかかる費用の一部を助成。中小企業の場合は45%、大企業の場合は30%。

特定の条件を満たす場合、助成率が最大で75%(中小企業)や60%(大企業)まで引き上げられる。

申請の流れ

1.職業能力開発推進者の選任と計画策定:

企業内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知します。

2.実習計画の提出:

実習開始日の1ヶ月前までに、実習計画を都道府県労働局に提出します。

3.実習の実施:

実習計画に従って、実習を実施し、実習期間中の賃金を適正に支払います。

4.支給申請書の提出:

実習終了後、2ヶ月以内に支給申請書を提出します。

5.助成金の支給:

労働局が申請内容を審査し、助成金が支給されます。

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