アサーティブコミュニケーションとは?リーダーのためのアサーティブコミュニケーション術

今回は「アサーティブコミュニケーション」についてお話しします。

このコミュニケーション法は、ただ意見を主張するだけではなく、相手の意見や感情も尊重するものです。

これを身につけることで、職場の人間関係が格段に良くなり、結果的に業績も上がります。では、具体的にどうすれば良いのか、一緒に見ていきましょう。

第1章:アサーティブコミュニケーションとは

1.1 アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションは、自分の意見や感情を率直に伝えつつ、相手の意見や感情も尊重するコミュニケーションのことです。要は、自分も相手も大切にするやり方です。

例えば、会議中に意見が対立したとき、ただ自分の意見を押し通すのではなく、相手の意見も理解しようと努めます。

これにより、お互いに納得のいく解決策を見つけやすくなります。

アサーティブコミュニケーションには、大きく分けて4つのスタイルがあります。

1.2 3つのコミュニケーションスタイル

4つとは「攻撃的」「受動的」「アサーティブ」です。ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

攻撃的自分の意見や感情を強く主張し、相手を押さえつける。結果的に相手との関係が悪くなりがちです。
受動的自分の意見や感情を表に出さず、相手に合わせる。自分のストレスが溜まり、長続きしません。
アサーティブ自分の意見を率直に伝え、相手の意見も尊重する。健全な関係が築けます。

こんな感じで自分にも相手にもOKを出すのがアサーティブコミュニケーションなのです。

これでアサーティブコミュニケーションの基本が分かりました。次に、なぜこれが重要なのかを見ていきましょう。

第2章:なぜアサーティブコミュニケーションが必要なのか?

ではアサーティブコミュニケーションがなぜ重要なのでしょう?

それは、一言で言うと、職場の人間関係を良好に保ち、業績を向上させるためです。

ハーバード大学のビジネススクールによる研究では、アサーティブコミュニケーションを取り入れたチームは、そうでないチームに比べて生産性が20%向上したと報告されています。

この研究では、アサーティブコミュニケーションがメンバー間の信頼を高め、効率的な意思決定を促進することが明らかになりました。

【参考文献: “Creating Psychological Safety in Teams” by Amy Edmondson, Harvard Business Review, 2014】

また、カーネギーメロン大学の研究では、アサーティブコミュニケーションを実践することで、職場のストレスレベルが30%低くなり、社員の満足度が大幅に向上したとされています。

この研究は、さまざまな企業の社員を対象に行われ、アサーティブなコミュニケーションが精神的な健康を保つ上で重要な役割を果たしていることを示しています。

【参考文献: “The Impact of Assertive Communication Training on Stress and Job Satisfaction” by Jennifer D. Campbell, Journal of Applied Psychology, 2017】

次は、具体的な手法を見ていきます。まずは「DESC法」からです。

第3章:アサーティブコミュニケーションの手法1:DESC法

3.1DESC法の説明

DESC法は、問題解決のための効果的なコミュニケーション手法です。以下の4つのステップで構成されています。

Describe(描写)問題の状況を具体的に述べる。最近、会議の終了時間が守られていないことが多いです。
Express(表現)自分の感情や考えを率直に伝える。そのため、次の仕事の予定が立てにくく困っています。
Specify(具体化)望む行動や解決策を具体的に提案する。会議の終了時間を厳守してもらえると助かります。
Consequences(結果)提案が受け入れられた場合のメリットや、拒否された場合の結果を伝える。そうすれば、全員がスムーズに次の業務に移れます。

3.2DESC法の具体的な例

DESC法は実際のビジネス環境で効果を発揮しています。例えば、Googleはこの手法を導入し、社員間のコミュニケーションを改善しました【参考文献:『Googleのマネジメント手法』byエリック・シュミット】。

特に、会議の時間管理やプロジェクト進行において、DESC法を活用しています。

Googleのケースでは、次のようなシナリオがありました。

プロジェクトマネージャーが頻繁に会議の時間を延長してしまい、チームメンバーの作業時間に影響が出ていました。そこで、チームメンバーがDESC法を使って問題を提起しました。

Describe(描写)最近、会議が予定の時間を超えて続くことが多いです。
Express(表現)そのため、他のタスクに集中する時間が短くなり、ストレスを感じています。
Specify(具体化)会議は予定時間内に終わらせるようにしましょう。
Consequences(結果)そうすれば、全員が効率よく仕事を進められ、プロジェクトの進行もスムーズになります。

この具体的なアプローチにより、Googleのチームは会議の時間管理を改善し、生産性を向上させることができました。この事例は、DESC法がいかに効果的かを示しています。

DESC法を使えば、あなたの職場でも同様の効果を期待できます。次は、アイメッセージの使い方を見ていきましょう。

第4章:アサーティブコミュニケーションの手法2:アイメッセージ

4.1アイメッセージとは

アイメッセージは、「私は」を主語にして話すやり方です。これにより、相手を非難せずに自己表現ができます。

ただ使い方を間違えると。ただ、わがままを言っている人になってしまうので、その点を注意してください。

4.2アイメッセージの使い方

例えば、「あなたが遅刻すると困ります」というのではなく、「私はあなたが遅刻すると心配になります」と言います。こうすることで、相手も受け入れやすくなります。

4.3アイメッセージの具体的な例

アイメッセージも多くの企業で採用されています。例えば、Facebookでは、アイメッセージを活用して社内のコミュニケーションを円滑にしています【参考文献:『Facebookの成功戦略』byシェリル・サンドバーグ】。

あるプロジェクトでは、チームメンバーが締め切りを守らないことが問題となっていました。プロジェクトリーダーはアイメッセージを使ってこの問題に対処しました。

  1. 「私は、あなたが締め切りを守らないと、プロジェクト全体に影響が出てしまうことを心配しています。」
  2. 「そのため、次のプロジェクトでは締め切りを守ってもらえると助かります。」
  3. 「そうすれば、全員が計画通りに進めることができ、プロジェクトが成功する可能性が高まります。」

このようにアイメッセージを使うことで、相手に対する非難を避けながら、具体的な行動を促すことができます。

Facebookでのこの事例により、チーム内の信頼関係が強化され、プロジェクトの進行が円滑になりました。

次は、アクティブリスニングについて見ていきましょう。

第5章:アサーティブコミュニケーションの手法3:アクティブリスニング

5.1アクティブリスニングとは

アクティブリスニングは、相手の話をしっかり聞き、理解を示すために反応する方法です。

「聞こえる」と「聞く」の違いがよく説明されます。

ここではただ相手の話をふんふんと聞くというより、自分から積極的に質問して相手の情報を拾いに行くことを意味します。

5.2アクティブリスニングの技術

例えば、相手が話している間に相槌を打ったり、要点を繰り返したりすることで、相手に安心感を与えます。いろんな技術があるのですが、主に次の3つを気をつけると良いでしょう。

合いの手相手の話を聞いていることを示すために、適切なタイミングで相槌を打ったり、短い返事をしたりします。例えば、「うんうん」「そうですね」「なるほど」などの言葉を使います。これにより、相手は自分の話に関心を持たれていると感じ、話しやすくなります。
オープンクエスチョン相手の話を深掘りするために、具体的な答えが求められない質問をします。これにより、相手は自由に考えや意見を表現することができます。例えば、「どう思いますか?」「なぜそう感じたのですか?」「その時どんなことを考えていましたか?」などの質問です。オープンクエスチョンは、相手の考えや感情をより深く理解するのに役立ちます。
要約相手の話の要点を繰り返し、自分が理解した内容を確認します。これにより、相手は自分の話が正しく伝わっているかを確認でき、安心感を得られます。例えば、「つまり、あなたはこう感じたということですね」「要するに、こういうことですか?」などと言います。要約は、相手の話の全体像を把握し、共感を示すのに有効です。

5.3アクティブリスニングの具体的な例

Amazonでは、アクティブリスニングを導入することで、顧客対応の質が向上しました【参考文献:『アマゾンウェイ』byジョン・ロスマン】。

具体的には、カスタマーサービスチームが顧客の声に耳を傾け、問題解決に努める方法としてアクティブリスニングを活用しています。

ある顧客が商品に不満を持っていた際、カスタマーサービス担当者はアクティブリスニングを実践しました。

合いの手はい、その件についてですね。
オープンクエスチョン具体的にどの部分が期待と異なっていましたか?
要約つまり、お客様は商品が期待と異なっていたと感じていらっしゃるのですね。
解決策ご迷惑をおかけして申し訳ありません。すぐに返品手続きを開始し、交換品をお送りします。

この対応により、顧客は自分の意見が尊重されていると感じ、満足度が向上しました。この事例は、アクティブリスニングがいかに効果的かを示しています。

次は、ノンバイオレント・コミュニケーション(NVC)について見ていきます。

第6章:アサーティブコミュニケーションの手法4:ノンバイオレント・コミュニケーション(NVC)

6.1NVCとは

ノンバイオレント・コミュニケーション(NVC)は、相手を攻撃せずに、共感的にコミュニケーションを取る方法です。

6.2NVCの基本ステップ

NVCは、観察、感情、ニーズ、リクエストの4つのステップから構成されます。

観察事実に基づいて状況を説明する。会議中に意見が出ないことが多いです。
感情自分の感情を伝える。私はそれが心配です。
ニーズ自分のニーズを明確にする。もっと活発な議論が必要だと思います。
リクエスト具体的な行動を提案する。次回の会議では、全員が意見を出す時間を設けませんか?

6.3NVCの具体的な例

NetflixではNVCを導入することで、社員間のコミュニケーションが改善されました【参考文献:『NoRulesRules:NetflixandtheCultureofReinvention』byリード・ヘイスティングス】。

特に、クリエイティブなプロジェクトにおいて、NVCを使った共感的なコミュニケーションが重視されています。

あるプロジェクトで、意見が対立した際にNVCを用いた事例があります。ディレクターとプロデューサーの間で意見の相違がありました。

観察最近のミーティングで、意見が対立することが多いですね。
感情そのため、プロジェクトの進行が心配です。
ニーズ私たちのニーズは、全員が満足する解決策を見つけることです。
リクエスト次回のミーティングで、全員が一度に話すのではなく、順番に意見を述べる時間を設けませんか?

このアプローチにより、Netflixのチームは円滑にコミュニケーションを取り、プロジェクトを成功に導きました。

最後に、フィードバックの技法について見ていきます。

まとめ

アサーティブコミュニケーションを実践することで、あなたの職場はより良い環境になります。

これらの手法を取り入れ、実際に使ってみることで、チームの連携が強化され、生産性も上がります。ぜひ、今日から始めてみてください。

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